ハイティンク指揮ロンドン響によるベートーヴェンの第二番
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : 交響曲 第2番 ニ長調 Op.36 (1801-02)
演奏者 : ベルナルト・ハイティンク指揮 ロンドン交響楽団
CD番号 : LSO0598

「田園」を聞いてこれを聞くとなんとなくハイティンクが古楽器の演奏を自らのスタイルに取り入れようとしているのではないかという気がしてきた。間違っているかも知れないが、ティンパニの鳴らし方などは旧盤と全く異なるし、テンポも全体に速めで、フレージングもたっぷりとっていた旧盤よりも短くしている。その為に少しテンポアップしているのだが、それはどこかで聞いた感じだなと思っていたのだが、それはジンマンとチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の全集に少し似た感じだということに気がついた。
それでこの二番を聞いていて、その思いを強くしたのである。
ロンドン交響楽団のアンサンブルは素晴らしいもので、ハイティンクを指揮者に迎え、全力で演奏しているのもよくわかる。そして旧盤と同じ解釈ではなく、新しい表現への意欲がハイティンクの中にもあるようだ。
意欲、情熱、そしてたゆまない努力。いや大した人だ…。
この演奏はそうした新しいハイティンクのスタイルで成功したものではないだろうか。バービカン・センターで録音したものと思うが、コンセルトヘボウよりも残響が薄く、生々しい録音で迫真の演奏を聞かせる。
第2楽章のカンタービレにハイティンクのロマンチシズムがよく現れているが、それもずいぶんテンポアップしていて、とてもよく流れる。LarghettoというよりAndanteかAndantinoであろう。ベートーヴェンの時代のLarghettoが速めだったのかどうかは知らないけれど、歳をとって、テンポアップさせたミシェル・コルボなどとちょっと似ているなと思ったりしてみた。
スケルツォはやや腰高な気がして落ち着かなかったけれど、終楽章は天下の大名演だと思った。颯爽としていて覇気が溢れている。若いベートーヴェンのエネルギーが迸る、そんな演奏だ。ここにはハイリゲンシュタットの遺書の絶望感の片鱗すらない。いやそれで良いのだと思う。この曲はそういう若いベートーヴェンの力に溢れた世界にこそ生きている曲だと私も考えるからである。
2400円でずいぶん楽しませて頂いている。次は8番でも聞こうか…。
by Schweizer_Musik | 2009-11-17 08:39 | CD試聴記
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