ハンス=ユルゲン・ワルターで聞くシャブリエの狂詩曲「スペイン」
作曲者 : CHABRIER, Alexis-Emmanuel 1841-1894 仏
曲名  :狂詩曲「スペイン」(1883) "España, Phapsody"
演奏者 : ハンス=ユルゲン・ワルター指揮 ハンブルグ放送交響楽団
CD番号 : iTune−Storeにて購入

これまた楽しい演奏だ。オーケストラに更に輝きがあれば良いのだけれど、そんな無いものねだりをしても始まらない。でも全体とすれば、これはなかなかの名演だと思う。ヘミオラのリズムを軽快に演奏しつつ、対旋律もよく歌うそれはオケの力を(多分)最大限に発揮させたものと私は思う。
細かなところで乱れがあり、時間があれば直したかっただろうなと思う部分は確かにあるが、スコアからよくアンサンブルをまとめている。特に木管、なかでもホルンなど引っ込みすぎと感じるところもあるし、明らかなミスもある。そうしたことは1960年代の録音ではよくあったことだが、ここでもそうした問題は残る。だが、演奏全体の勢いはある。最後のクライマックスに向けてわずかにアチェレランドしていくあたりの呼吸はさすがで、その後うまく減速して難しい部分を乗り切るあたりの設計は、凡手には絶対無理な話である。
オケの不十分さは指揮者の巧みな誘導でほとんど目立つことなく、音楽は決して歪曲されず正しい姿で提示されるのである。まさに職人芸だ。
これがウィーン交響楽団を振った1960年代のサヴァリッシュの放送用録音だと言えば、多分ほとんどの人は騙されるのではないだろうか?
今回聞いたハンス=ユルゲン・ワルターの録音の中でも最も楽しめた演奏であった。何か一つという方にはこれをお薦めしたい。
by Schweizer_Musik | 2009-12-06 12:01 | CD試聴記
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