エルガー自身の指揮で聞く交響曲第1番
作曲者 : ELGAR, Edward 1857-1934 英
曲名  : 交響曲 第1番 変イ長調 Op.55 (1907-09)
演奏者 : エドワード・エルガー指揮 ロンドン交響楽団
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1930年11月20-22日ロンドンのキングスウェイ・ホール録音というこの演奏を聞いて、エドワード・エルガーという人が、根っからのロマン派の人だったことを再確認するとともに、ブラームスなどが生きていた時代の音楽を、彼はそのまま体現していたのだと痛感させられた。
ロンドン交響楽団の指揮者を勤めたこともあるほどの音楽家であった彼が、指揮が下手だったなどということはなく、彼の音楽観をしっかりと反映させた演奏だと思う。ポルタメントが多いのは、一つのフレーズの中で、糸を替えて演奏することによる音色の変化を嫌ったことによると思われるが、速めのテンポをとりながらも細かく場面場面での設定を変えているあたり、古い演奏スタイルが彼の中に厳然と存在したことを裏付けている。
こうした古い後期ロマン派のスタイルを受け継いでいる辺りが、フランス人あたりが馬鹿にする理由のようである。イギリス以外では全く相手にされていないと書いている人もいるが、それは間違っている。最近ではウィーン・フィルあたりでも時折、定期で取り上げているし、アメリカでは人気を保っている。
ゲオルク・ショルティやトスカニーニといったイギリス人以外の指揮者も積極的にとりあげてもいるので、あまり演奏しないのは今日ではフランス人だけのようだ。国民性なのかどうかは知らないが、お気の毒…である。こんな良いものを聞かないなんて…。
先日、神奈川フィルでこの曲を聞いた。石田がコンマスに座ったオケから響いてくる音は絶品の味わいだった。
今日ではエルガーの指揮する演奏のようなスタイルは流行らない。でも、心地よいテンポを繰り出す作曲者の指揮は、自分自身の世界観をもたないままにやたらと遅いテンポで雄大な雰囲気作りをしたがる風潮に一石を投じるものと感じられた。(遅いテンポが嫌いなのではない。それで納得させられるのであれば良いのだ。でも残念ながら弛緩しただけという場合の方が圧倒的に多い…)
そう好きな曲というわけではないが、古い録音なのに良いバランスで聞けるのは、当時、この録音にかける技術者などの意気込み故だったのだろう。更に、復刻をしたナクソスのこの演奏に対するこだわりも強く感じた。一度ご賞味あれ!
by Schweizer_Musik | 2009-12-06 16:01 | ナクソスのHPで聞いた録音
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