作曲者 : BRAHMS, Johannes 1833-1897 独
曲名 : 大学祝典序曲 Op.80 (1880) 演奏者 : ウィレム・メンゲルベルク指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 このアルバムは こちら このところ、受動的鑑賞(?)が多い(笑)。コメントなどを読んで、そう言えばあれはどんなだったっけ…と思って聞く類である。これもそういうパターンで聞き始めた。 意外なほど良い復刻状態である。所持しているのはEMIから随分昔に出たCDH 7 69956 2という盤であるが、それはパチパチというSP盤特有の音に悩まされなくてはならないものだったが、それに比べてナクソスの復刻はとても具合がよろしい。 1930年5月30日の録音である。そう多くのことを録音に望んでも仕方がないが、この演奏から聞こえてくるのは、後年の録音からは味わえない古典的均衡とロマン的味わいの絶妙なバランスである。オーケストラ・コントロールの見事さは相変わらずであるが、それ以上に彼の演奏から聞こえてくる音楽の繊細さに驚く。繊細さと剛毅さ、雄大さ、こうした反する要素を統合する懐の大きさを感じるのだ。 メンゲルベルクはすでに59才の時の録音ということで、円熟の技なのだ。 ナチスや戦争なんてものがなかったら、彼の晩年の音楽がどういうものになったか…も聞くことができたはずである。 一方、あれがあったことで、コンセルトヘボウ管は、スイス・ロマンド管弦楽団のような変な色眼鏡で見られることを逃れた一面もあったのかも知れない。エドゥアルト・ヴァン・ベイヌムという逸材が登場してくれたおかげと言うべきであろう。 時が移り、彼は当然のことながら過去の指揮者の一人となってしまった。ただ、多くの指揮者が個性的であろうとマニエリズムに走ったり、ピリオドに走る時代に、彼の音楽は新しい道へのヒントとなるのではないだろうか?どうもそんな気がしてならない。
by Schweizer_Musik
| 2009-12-08 07:03
| ナクソスのHPで聞いた録音
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