鄭京和が弾くプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番
作曲者 : PROKOFIEV, Sergei 1891-1953 露
曲名  : ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 Op.19 (1916-17)
演奏者 : キョン=ファ・チョン(vn), アンドレ・プレヴィン指揮 ロンドン交響楽団
CD番号 : LONDON/F28L-28077

ちょっとしたきっかけで、この曲に今はまっている。もう2週間ほど、一日に一度は誰かの演奏でこの曲を聞いているが、今朝は古い鄭京和の演奏で聞いていた。
オケが何しろ最高なのだが、鄭京和の演奏も今更ながらと思うが素晴らしい。日替わりで違う演奏を聞いていて、なんて良い曲なのだろうと、わずか25才の青年が書いたこの作品に魅せられ続けている。
昨日はパールマンを聞いた。オケは同じイギリスのBBC交響楽団でゲンナジ・ロジェストヴェンスキーが振っていたが、プレヴィンの方がフレーズが柔軟で、オケに関する限りこれが一番ではないか。
ロジェストヴェンスキーももの凄く上手いし、気が利いているけれど、ふわりとした柔らかなフレーズ感は特別である。この録音は1975年。彼がロンドン交響楽団と最高の状態にあった時のものだ。ラドゥ・ルプーとのシューマン、グリーグの協奏曲とともに彼がどれほどのバトン・テクニックと音楽性を持っているか、私の心にしっかりと刻みつけた演奏だった。
プレヴィンはこの後、シャハムと共演して同じロンドン交響楽団を振ってこの曲をグラモフォンに録音しているが、これほどの完成度とは言えなかった。ミスがあるとかそういう問題ではなく(当たり前だ!)音楽のちょっとした勢いのようなものが失われてしまっていた…。
もちろん、これ以外にも素晴らしい演奏は数多く存在する。パイネマンのいくつかの録音も良いが、最近のものではイリア・グリンゴルツとネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団のものが抜群だった。これがプレヴィンだったら…。などと無いものねだりをしても仕方がないが(ヤルヴィの指揮が良くないというのではない、プレヴィンが良すぎるのだ)、それでも私は充分に楽しんだ。
この曲の後、ロシア革命の後の亡命時代のプロコフィエフは先鋭化した様式へと突き進むが、その前の青年プロコフィエフの伸びやかなテンペラメントを一杯盛り込んだこの作品は、やはり彼の青年時代を代表すべき傑作中の傑作と言えよう。
by Schweizer_Musik | 2009-12-23 09:51 | CD試聴記
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