ベートーヴェンのミサ・ソレムニスをジュリーニの指揮で
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : ミサ・ソレムニス ニ長調 Op.123 (1819-23)
演奏者 : カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団, ニュー・フィルハーモニア合唱団, ヘザー・ハーパー(sop), ジャネット・ベイカー(m-sop), ロバート・ティアー(ten), ハンス・ゾーティン(bs)
CD番号 : EMI/5176642

この演奏がどういう経緯で録音されたのかは分からないが、資料によると(ブックレットがないので…→iTuneでダウンロードしたものなので)1974年5月10日ロンドン、キングスウェイ・ホール録音なのだそうだ。
彼がイタリア人だからカンタービレがどうのと分かったようなことを書いている人もいるけれど、確かによく歌う演奏で、壮大過ぎず、音楽そのものを自然に語らせるような演奏にとても好感がもてる。
昨日、家にあるミサ・ソレムニスを全部はとても無理だけれど、6種類の演奏を聞き(鉄板のクレンペラーが見あたらず、カール・ベームの名演を持っていないことも判明…)これが一番素晴らしかった。
ドラティの名演かとも思ったのだけれど、歌手が今ひとつで、マズアが昨日は対抗馬となった。ブルーノ・ワルターの古いライブは音が悪すぎ、やや聞くのは苦痛だったけれど、そこから聞こえてくるものは絶大であった。あれを聞きながら、現代楽器でピリオドを大ホールでやるのはいい加減勘弁してほしいと心底思った次第。(いかん、興奮してきた…)
響きはピリオドなんてやってベートーヴェンをカサカサの潤いの無い音楽だと言いつのる愚か者に聞かせてやりたい美しさ!!こんな美しい音楽を拒否してどうするのだ!!
サンクトゥスを聞いていて涙が出てきた。ヘーザ-・ハーパーやジャネット・ベイカーなどの歌手陣も良い。誰もが最高のパフォーマンスだ。ただハーバーがやや不安定な感じが残るが、気のせいか…。ヴァイオリン・ソロも美しい。これこそ天才石田に合っていると思うのだが、神奈川フィルの「ミサ・ソレムニス」の演奏会は指揮者が良くないので行くほどのこともあるまい。
この曲を若い頃、何度か振って「満足いく演奏がどうしても出来ない。ベートーヴェンに申し訳ない」と以後この曲をレパートリーから外してしまったフルトヴェングラーの話を聞いたことがあるが、なるほどと思う。スケール大きく盛り上げていくというだけでは御しきれない自然体で聞かせるものがこの音楽にはある。晩年の音楽であり、第九よりもずっと内省的にも感じるのはそういう特徴を持っているからではないだろうか?誠実であろうとする音楽家としての矜持のようなものであろう。
第九と双生児のような曲で、第九が外に向かっていく情熱であれば、ミサ・ソレムニスは内に向かう心の音楽であると思う。そしてこのジュリーニのような演奏こそがこの音楽には相応しい。
アニュス・デイからドナ・ノービス・パーチェムにかけて聞いていて、私は本当に涙が出てしまった。なんて良い音楽なのだろう!!
by Schweizer_Musik | 2009-12-28 07:30 | CD試聴記
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