温故知新 Vol. 40 ラヴェルのスペイン狂詩曲
作曲者 : RAVEL, Maurice 1875-1937 仏
曲名  : スペイン狂詩曲 (1907-08)
演奏者 : シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団
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懐かしい演奏である。中学三年の冬、私はこの演奏の入ったLPを購入した。高校受験を控え、音楽をやりたいという思いは抑えがたく、悶々とした日々を送っていた頃だった。その年は寒い冬で、私は風邪をひいて大熱を出して、朦朧とした状態で受験し、志望校に落ちてしまった。まっ、それはどうでも良かったのだけれど、そんな冬の日がな一日、これを聞いたり、ワルターの指揮したモーツァルトのト短調を聞いたりして、こんな美しい音楽を自分も書けたら…などと思っていたわけである。
大体人間なんて勘違いしてこうした世界に迷い込んでしまうものだと思う。私などはその最たるものだろう(爆)。
冒頭の焦がれるような下降音階がなんとも不思議な響きで、それについてくる和音だって当時は謎だった。どうやってこんな音が出ているのか、サッパリわからなかった。わからなかったけれど、いつかわかるさと気軽に考えながら、高校三年の頃だったか、スコアをようやく手に入れ(大阪のササヤさんです。関西方面の音楽関係者なと知っていると思うけれど…今のように大阪駅の前でなく、御堂筋(だったと思う…)をずいぶん南下してようやくたどり着いた小さな店で、魔法使いのようなおじさん(男に魔法使いはおかしいけれど、小さな店のどどこから出てくるのか判らないけれど、頼めば大体なんでもサッと出してくれた凄いおじさんだった)から買った。
買って、まだスコアなんて自由自在に読めるなんてレベルではなかったけれど、一生懸命読んで、へぇ…こんな音を組み合わせているのかと、なんとなくわかった気になっていたのが大学二年の頃で、卒業する頃にようやく全体像がつかめた気がしていたものだ。
こうして音楽にのめり込み、時が経って久しぶりにこの録音を聞いて、風邪の熱でうなされながら、これを聞きながら作曲したいと思いこんでいたあの日にふっと帰っていた。
もう一度くり返したくなんか絶対ないけれど、あの頃の思いは忘れないでいたいものだと、聞きながら思った。ミュンシュの情熱的な指揮が、そうした思いにさせてくれた。もうひとがんばりしなくては!!
下の写真はルツェルンの城壁から眺めたピラトゥス山の眺めである。これからスイスの写真を特集して行こうと思う。単に自分のスイスへの気持ちを高めていくために…。
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by Schweizer_Musik | 2010-02-18 16:00 | パブリック・ドメインの録音より
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