若き日のサヴァリッシュ指揮によるブラームスの交響曲第4番
作曲者 : BRAHMS, Johannes 1833-1897 独
曲名  : 交響曲 第4番 ホ短調 Op.98 (1884-85)
演奏者 : ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮 ウィーン交響楽団
CD番号 : PHILIPS/438 757-2

私はこの演奏でこの曲と出会った。実は当時はあまり好きになれず、どことなくとらえどころが無いように思ってはいたが、それはひょっとするとこの曲をはじめて聞いた人たちの感想と似ていたやも知れぬと思う。中学生の私にはフリギアがどうのとかは全く理解不能で、これが擬古典の様式…などと解説されても何がどうなのかさっぱり分からず、そんなものなのかと思う程度の話だった。だから、フーゴ・ヴォルフのように口汚く罵るような感想を持ち得なかったが、それは返ってこの曲の独創性に対する危機感だったのではないかと、今では思うようになった。
サヴァリッシュの演奏で、よく分からなかったところも、その後、フルトヴェングラーの戦争中の演奏を聞き(フォンタナ盤)これが凄まじい音楽であると認識するに至り、以来、私の愛聴曲となっている。
というわけで、この演奏に対してやや複雑な印象のある私は、某オークションでこれが出ていたので冒険するような気持ちで落札し、今何十年ぶりかで聞いているところである。
面白いもので、中学、高校の頃に聞き込んだ演奏というのは、細部に至るまで憶えているもののようだ。ウィーン交響楽団の演奏も立派なものだが、やや一本調子に感じなくもない。やはりフルトヴェングラーなどで、徹底的に聞いてそれが骨身に染みているのだろうか?
また、フィリップスの録音らしいのからしくないのか、何とも言えないが、ややデッドな録音で、ステレオ感は充分でも奥行きの感じられないものである点もその印象を増幅する。
終楽章などはもっと深い響きで鳴らしてくれれば…と思わなくもないけれど、このブラームスのスコアは完璧で、とてもよく響く。曲が良いのだ。
いや、昔聞いた記憶のとおりだった。良いのだけれど…。
これを中学の時に買ったのは、ただただ安く、1000円で第3番と第4番が表裏に収録されていたというただこれだけの理由からだった。懐かしい思い出とともに、第2楽章を今アンコールしたところである。

↓の写真は映画「女王陛下の007」で有名なシルトホルンの展望台からベルナー・オーバーラント三山(アイガー、メンヒ、ユングフラウ)の写真である。左下にロープウェイの途中駅、ビルクが映り込んでいる…。
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by Schweizer_Musik | 2010-02-20 18:23 | CD試聴記
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