トスカニーニとベートーヴェンの第7番
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : 交響曲 第7番 イ長調 Op.92 (1811-12)
演奏者 : アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団
CD番号 : BMG/BVCC-7003〜07

このCD、10年以上聞いていなかった…。かつてはよく聞いたものだが、久しぶりに取り出してみてやはり感動した。朝比奈隆氏だったかと思うが、トスカニーニの演奏というのは、少しずつアチェレランドしていくのだという。確かに人が言うようにイン・テンポではない。全体に常に前のめりだ。私の好きなアンドレ・クリュイタンスのようにゆったりと響かせるのでは全くない。きっとクリュイタンスの演奏をトスカニーニに聞かせたら第1楽章は序奏こそPoco sostenutoだからそのテンポでも良いけれど、主部はAllegroではなくVivaceだ。それでは遅すぎると言ったに違いない。
性急なテンポ故に、NBC交響楽団のアンサンブルにもところどころ綻びが来ている。だからこの演奏は駄目とかいう気は全くない。そしろこの演奏を実演でやったということがただただ凄いと思う。ただ、テンポの表示はVivaceだけれど、私には少し速すぎるように思う。楽員が演奏しきれないようなテンポを、楽器の扱いの上手いベートーヴェンがやるわけがないと思うからだ。
いや、表現のためにこういうことをベートーヴェンは要求したのだという意見もあるだろう。どちらが正しいかは何とも言えないが、それぞれにお好きな方を…と言っておこう。私は今もクリュイタンス派だが、このトスカニーニの気迫に満ちた演奏も素晴らしいと思う。(ちょっと日和見…笑)
古いニューヨーク・フィルとの録音も今度探してみようと思う。持っていたはずだ。

この作品はベートーヴェンの作品の中でもかなり直裁な作りで、実にわかりやすい。4つの楽章が全て和音ではじまり、どれもがA音を根音とするもので、統一感がバッチリ!こんなことをどうやって思いついたのだろう!
第2楽章だけ短三和音になり長く延ばすけれど、他は短く、バチッと鳴らす。で、全部Aのコードなのだ。トスカニーニの芸風にこういう直裁な音楽はやはり合っているのだろう。「エロイカ」などではちょっと語るべきものが少なすぎて如何なものかと思わなくもないが、7番などは最高の聞き物となる。
さあ、少し部屋が暖まってきた。仕事にかかろう!!
写真はまたまたミューレンの朝、最初の光がアルプスの峰のてっぺんに届いた!!
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by Schweizer_Musik | 2010-02-22 08:30 | CD試聴記
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