チャイコフスキーの「四季」
「四季」と名のつく曲については、以前に少しとりあげたけれど、このチャイコフスキーの作品は十二ヶ月のそれぞれをテーマとして作曲したもので、ピアノ独奏のための作品である。
昔、友人の松村英臣の初レコーディングの際、何が良いかと聞かれて、即座にチャイコフスキーの「四季」が良いと薦めたのは私だった。ふとそんなことを思い出した。「展覧会の絵」などを候補にしていたが、それなら良い演奏がいくらでもあるし、ピアノのオリジナルよりも、ラヴェルの編曲の方で親しまれているので、あれを録音しても仕方がないと言ったことも思い出した。
結果、この曲を録音したが、その直後にバブルが弾けて、録音が宙に浮いてしまい、結果的に自主制作CDになってしまったが、あの演奏が私にとっても最高の「四季」であり続けている。アシュケナージをはじめずいぶん色々と持っているが、松村氏のCDを聞いている私には世評の高いそれらの演奏がバカバカしくなるほどで、今もって一番であり続けている。
ともあれ、彼の演奏でもう何十回ではきかないほど聞いてきたこの曲を、この度二台ピアノにアレンジせよと言われて今取り組んでいる。久しぶりに楽譜を詳細に読み、二台ピアノに編曲しているわけだが、このオリジナルの楽譜のスラーは、弦のボウイングであるので、ピアノ用に書き直すのがちょっと面倒。
何故、チャイコフスキーはこういうスラーを書いたのかは分からない。モスクワのメロディアで購入した原典のスコアが誰かに貸したらそのまま帰ってこないという状況であるために、ついつい丁寧に調べることもせぬままに今日に至ってしまったことから、そのままになっている。
結構思い切ったハーモナイズもあり、それを二台用に拡大するのはちょっと手強い。二月はかな手こずったが、まぁ何とか終えることができた。
今、「三月」を終えたが、これは簡単。というより拡大する方法がないのだ。二台に振り分けて、オクターブで重ねられるわずかなところだけ拡大しただけで、終わった…。こんなものならば2〜3時間もあれば充分なのだが、そうは問屋が…の世界だ。
さて「四月」にとりかかろう。

写真は世界遺産にも指定されているザンクトガレンの大聖堂。ここで聞いたオルガンの響きもまた忘れられない…。
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by Schweizer_Musik | 2010-03-05 15:08 | 日々の出来事
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