スウィトナーの指揮するモーツァルトのト短調交響曲
作曲者 : MOZART, Wolfgang Amadeus 1756-1791 オーストリア
曲名  : 交響曲 第40番 ト短調 K.550 (第2版) (1788)
演奏者 : オトマール・スウィトナー指揮 ベルリン・シュターツカペレ
CD番号 : 東京FM/TFMC-0001

思い入れ一杯のこの作品、もういくつのCDを所持しているやら、私にも不明…である。好きな作品ナンバー1なのだ。だからこの録音があるとついつい手を出してしまうからほとんど病気だ。
先日、大阪に帰った時、久しぶりにブロムシュテットの指揮を聞いて感激。以来、ちょくちょく空いた時に色んな演奏家で聞いているが、先日届いたベルリン・シュターツカペレとの1978年10月25日東京・厚生年金会館大ホールでのライブは、以前から親しんできたドレスデン・シュターツカペレとのスウィトナーとはまるで別人。ビックリしてしまった。
ドレスデン・シュターツカペレとの演奏も好きだ。でもあれは余所行きのモーツァルトだ。歌いすぎて感傷的と言われないように注意深くクレッシェンドおディミヌエンドをコントロールし、テンポも極めて正確にとり、動かす時はよほど注意していないとわからないようにしていた。
だがこのライブではどうだ。デモーニッシュなト短調が圧倒的なスケールで怒濤のように迫ってくる。
大体冒頭の5小節でこの演奏がどういう解釈で、どういう方向に収斂していくかが予想がついてしまう。それほど冒頭の5小節は重要で、特にヴィオラの刻み1小節で何をやりたいか分かってしまうほどでもある。
このスウィトナーはそこから大きなうねりを創りだし、それが次々の新しい波を劇的に演出していく。ベルリン・シュターツカペレという最高の楽器を手にしていると自負しているかのようで、この録音はスウィトナーのモーツァルト像を大きく変える貴重なCDだ。
全体にテンポは前のめりで、演奏する喜びを全面に出している。ライブならではであろうが、第2楽章はちょっとそれが裏目に出ているように思う。ドレスデン・シュターツカペレとの録音でも第2楽章がちょっと速めで、私の好みに合わなかった。このベルリン・シュターツカペレ盤も基本的なテンポはドレスデン盤とほとんど変わらず、一定しているので、スウィトナーはこういうテンポをこの楽章に感じていたのだろう。単なる私の好みの問題なので次に進む。
メヌエットは重々しい響きで典雅な宮廷の世界とは隔絶した音楽となっている。シンフォニックでよく歌う。それはトリオの木管に象徴される。管楽器の腕前はドレスデン・シュターツカペレのようにと言うのは言い過ぎかも知れないが、それでも大変素晴らしい。ホルンの腕前などなかなかのものだ。
そして終楽章。ライブらしく第1楽章もそうだったのだが、ちょっとバラバラとはじまり次第に焦点が定まっていく感じで、ハラハラドキドキ…(笑)。しかしその過程がとても面白く、音楽が生まれ、そして人に届く瞬間に立ち会っているような得難い体験だ。おそらく会場にいたら、感動で泣いていただろうなぁ…。

写真は、チューリッヒの夜の風景。トラムが走るところで、聖母教会にる橋のちょっとチューリッヒ駅よりのあたり(大聖堂の下)の景色だ。良い感じでしょ?
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by Schweizer_Musik | 2010-03-06 09:55 | CD試聴記
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