プレガルディエンが歌うシューベルトの「白鳥の歌」
作曲者 : SCHUBERT, Franz Peter 1797-1828 オーストリア
曲名  : 歌曲集「白鳥の歌」D.957 (1828)
演奏者 : クリストフ・プレガルディエン(ten), アンドレアス・シュタイアー(pf)
CD番号 : Challenge Classics/CC72302

たとえシューベルトが歌曲集としてまとめたものでなく、更に一貫したテーマ性を持っているわけでもないが、この歌曲集の抜き差しのならない深刻さは一体何なのだろうと思う。
「愛の便り」が軽妙にはじまりながらも、すぐに何か恐ろしいほどの深刻な悩みがサラリと立ち上がる。これが曲が進むにつれて次第に深さと重みを加えていく。そして「アトラス」で頂点を迎える。
不思議な作品である。他人がテキトーに遺作の歌曲を並べただけだというのに、はじめからこういうものをシューベルトが書こうとしていたかのような出来映えなのだ。
それが何気ない顔して「春のあこがれ」を歌ったりするのだから作曲者の精神構造は一体どうなっていたのだろうか?
これを暗く、重々しく歌われてはこちらがかなわない。その意味でテノールの歌唱はありがたいのだが、それが最近の私のお気に入りであるプレガルディエンとなれば、たとえハンマーフリューゲルのボソボソした音の共演であっても私は買う。
最近は彼が歌っていれば何でも買いそうな勢いなので、ちょっと自重しないとと思っているのだが、やはりこればかりは止められない。マイヤーホーファーの詩による歌曲を集めた一枚も素晴らしかったけれど、この「白鳥の歌」は最高の出来映えだと思う。
「鳩の使い」はこの歌曲集にはあまり色合いがあっていないようで、最近は外す歌手もいるそうだが、プレガルティエンもそうしている。しかし、D.965Aとして続いて収められているので、まっ気の持ちようということになっている(笑)。
ヘルマン・プライの歌がちょっとフラット気味なのは頂けないと思っていたけれど私の好きな演奏だった。でも今はこのプレガルディエンのCDがあるので、何十種類もある我が家の「白鳥の歌」もそのほとんどは本棚の肥やしとなりそうだ。

写真はチューリッヒの夜のグロス・ミュンスター。
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by Schweizer_Musik | 2010-03-16 01:12 | CD試聴記
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