モンポウの「内なる印象」をラローチャの名演で聞く
作曲者 : MOMPOU, Federico 1893-1987 スペイン
曲名  : 内なる印象 "Impresiones Intimas" (1911-14)
演奏者 : アリシア・デ・ラローチャ(pf)
CD番号 : LONDON/POCL-5267

繊細極まる音楽!おそろくまだ10代の頃のモンポウの手になるこれらの作品は、グラナドスの紹介状を持って、パリのフォーレのもとを訪れながら、待っている間に怖くなって、結局会わないで帰ってしまったという気の小さな男の天才の恐らくは最初の輝きなのではないか?
小さな、吹けば飛ぶよな小品が9曲。全くの独学で作曲をしていたが故に、技法に溺れ、それを弄ぶかのような愚かしさとは無縁の、純粋な美しさに溢れている。
「悲しい鳥」と題された第5番を聞いていて、つい涙がこみ上げてきてしまった。静寂の中に1音1音が谺するような美しさ!ああこんな音楽を聞くと、私など、恥ずかしくてとても作曲なんてできない…。
ピアノも堪能だった作曲者が深く信頼し、いくつかの作品を捧げられてもいるラローチャによる演奏は完璧だ。愛おしい思いが溢れている。久しぶりに聞きながら、冷たい雨に煙る窓の外を見ていた午後であった。音楽ってホントに良いものだ。

写真はまたまたジュネーヴの噴水。有名過ぎて、なんだかつまらない…。
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by Schweizer_Musik | 2010-03-25 17:10 | CD試聴記
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