エネスコのヴァイオリン・ソナタ第3番
作曲者 : ENESCO, George 1881-1955 ルーマニア
曲名  : ヴァイオリン・ソナタ 第3番 イ短調 Op.25「ルーマニア民俗風」(1925)
演奏者 : ジョルジュ・エネスコ(vn), ディヌ・リパッティ(pf)
CD番号 : DANTE/HPC091〜92

この見事な作品は実に幸福な曲で、作曲者がまず名ヴァイオリニストで、そのソロと共演するのは天才ディヌ・リパッティという組み合わせでまず録音され、メニューインが妹と録音しているし、クリスティアン・フェラスがバルビゼとも録音している。イダ・ヘンデルのもあったっけ…。
ブロッホのソナタ第2番のように素晴らしい曲なのに、ロクな演奏がない、気の毒な作品に比べるとなんと幸せなのだろうと思う。
だが、これほどの名演ひしめく名作というのに、今ひとつ知名度の低いままなのは、残念なことだ。もっと聞かれてしかるべきだと思う。
民族的な素材をバルトークとは全く違う、親しみやすい技法で、それでいてユニーク極まりないフレーズと響きに詰め込んだ作品は、聞けば聞くほどに味わい深くなるが、一方ではじめて聞いた時から興奮をもたらす力を持っている。
ジョルジュ・エネスコのヴァイオリンは、晩年、少々ボウイングが乱れることもあったけれど、それでも彼の音の美しさは、昨今のジュリアード系のそれに比べるとずっと気品に満ちたものであった。(ジュリアードが悪いわけでは決してない)
終楽章などは特徴あるモードの使用が時代を感じさせるけれど、1925年当時としては最先端のファッションであったに違いない。リズムの扱いなどもユニークで、聞いた感じだけでもかなり複雑怪奇なことをやって効果を上げている。初演当時、聴衆はきっと驚いたことだろう。

写真はサース・フェーに長期滞在していた時に撮ったお気に入りの一枚。
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by Schweizer_Musik | 2010-04-20 06:58 | CD試聴記
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