1965年クーベリック来日公演より「ドヴォルザークの「新世界」
作曲者 : DVOŘÁK, Antonín 1841-1904 チェコ
曲名  : 交響曲 第9番 ホ短調「新世界より」Op.95 B.178 (1893)
演奏者 : ラファエル・クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団
CD番号 : Altus/ALT-010

1965年4月24日東京文化会館でのライブで、ステレオ録音である。
他にワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲と愛の死」、そしてシューベルトの「未完成」が入っている。他に何が演奏されたかは知らないが本プロは全部入っているのではないだろうか。
録音状態は、冒頭にやや左右の定位が不安定なところがあるもののの、しばらくすると安定し、聞きやすくなる。会場ノイズもほとんど気にならない。
演奏は…もう凄いとしか言いようがない。こんな記録が残っていたのかと、驚くばかりである。久しぶりに手に汗握る「新世界」を聞いた。
第2楽章のイングリッシュ・ホルンはやや音が硬く、私の好みではなかったが、こんなことは些細なことだ。シカゴ交響楽団での鬱憤をはらすかのように、クーベリックは1961年に就任したバイエルン放送交響楽団の首席指揮者としての仕事に打ち込み、この来日が最初で、当時のこのコンビがいかに充実していたかを知るライブが、東京文化会館で行われたこととなるのである。
音楽でなく政治的な思いこみでしか判断できない、歴史にその愚かさで名を残すクローディア・キャシディという評論家による度重なる嫌がらせで、シカゴ交響楽団を辞任し、コヴェントガーデン、そしてバイエルン放送交響楽団とヨーロッパに戻ったクーベリックは、ここでその大輪の花を咲かすのである。
レッドパージ、フルトヴェングラーの訪米に偏った思いこみで反対し続けた愚かな人々にはご愁傷様だが、こうしてクーベリックとバイエルン放送交響楽団の名演を聞くと、よくぞ創設間もないバイエルン放送交響楽団に来てくれたものとミュンヘンの市民ならずとも嬉しくなる。
グラモフォンへの正規録音はもっとおとなしく、整った演奏となっている。ここで聞くクーベリックはまるで違う。フレーズは大きくうねるし、ダイナミック・レンジの幅はまことに大きい。
奏者、特に木管奏者の硬い音はちょっと私の好みとは違うが、アンサンブルは大変高度な水準にある。これが熟成し、美しい音へと変わるには後数年待つ必要がある。でもこの大変な熱演はその熟成前の銘酒のまだ奔馬のようなところを味わうようで、これはまた素晴らしいのだ。
まだ手にはいるのかはわからないが、中古ではよく見かけるので、一度聞かれてみてはいかがだろう。

写真はウンター・エンガディン(サンモリッツからオーストリアのインスブルックへと流れ下るイン川の谷)のシュクオル・タラスプにある城。個人所有なので、行ったことはないが、こんなお城に住む人ってどんな人なのだろう。一人で住むのだけは…絶対いやだなぁ…。掃除嫌いなのに、こんな広かったら草むしりから掃除と、一日中それだけで終わりそうだ(笑)。
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by Schweizer_Musik | 2010-04-21 05:03 | CD試聴記
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