ベルリオーズの荘厳ミサ曲
作曲者 : BERLIOZ, Hector 1803-1869 仏
曲名  : 荘厳ミサ曲 "Messe Solennelle" H 20A (1824)
演奏者 : ジョン・エリオット・ガーディナー指揮 オルケストル・レヴォリュショネール・エ・ロマンティーク, モンテヴェルディ合唱団, ドナ・ブラウン(sop), ジャン=リュック・ヴィアラ(ten), ジル・カシュマイユ(bs-br)
CD番号 : PHILIPS/PHCP-9503〜4

発売当初、ずいぶん話題となった録音である。ベルリオーズは晩学の人だったので、この曲はごく初期、それも音楽の勉強を正式にはじめて一年ほどの頃に書かれた曲で、最初の大規模な作品となったものである。
ベルリオーズは、自らの水準に満たない作品は全て破棄されていて、この曲も破棄された(はずであった)。しかし、偶然、おそらくはこの曲の初演(1825年)、もしくは再演(1827年)の時に参加していたヴァイオリニストの手からその友人へとスコアが渡り、185年の沈黙の末、この曲が現代に甦ったのであった。
最初聞いたとき、驚いた。あの幻想交響曲のモティーフがあちらこちらにあり、この曲そのものが幻想交響曲、そして怪作の「レリオ」の素材となっていたからである。もちろんこの曲を書いた時は、幻想交響曲の対象でもあったハリエット・スミッソンとは会ってない。
初演は大成功で、再演もまずまずだったようだが、その頃からこの曲に対するベルリオーズの考えは変わってきていたようで、第8曲 レスレクシト"Resurrexit"だけを残して、他の曲を作品リストから引っ込めてしまう。そして最終的な破棄はいつ頃行われたかは知らないが、1830年の幻想交響曲の初演の後であることだけは確かなようだ。
しかし、IMSLPにこの第8曲 レスレクシト"Resurrexit"の改訂版(1827)のフル・スコアがあるので、この曲だけは出版まで行っていたようだ。ワインガルトナーなどの校訂で1907年にブライトコップフから出版されているからである。このCDにはこの改訂版の方も収録されているが、ファンファーレの部分などに少し違いがあったりするが、総じて最初の版は音が団子になってしまい、バランスが悪いが、改訂されてそうした問題が克服されているように思われる。しかし、よくこんなことやらせるなぁと感心するような部分も多い(弦楽全員でのピツィカートの伴奏など…)。
合唱、ソリストともにさすがガーディナー、全く素晴らしい出来映えで、この知られざる作品を極めて高い水準で再現している。これならベルリオーズもあの世で喜んでいることだろう。
ピリオドによる演奏であるが、私の許容範囲。教会(ロンドンのウェストミンスター大寺院)での演奏ということで、うまくバランスが保たれている。「おおサルタリス」の美しさには参ってしまった。昨日から何度聞いたことだろう。ちょっとはまってしまうほど美しい。これを破棄するなんてベルリオーズの自作に対する厳しさにただただ恐れ入るばかりである。

写真はスイス西部のジュラ山地にあるサンテュルサンヌの教会。中世がそのまま現代にタイムスリップしたような不思議な村にある小さな教会。ここのオルガンの音は実に美しかった。「おおサルタリス」をここで聞けたらもう死んでも良い…。
c0042908_5502699.jpg

by Schweizer_Musik | 2010-04-21 05:50 | CD試聴記
<< リパッティの4つの歌曲 1965年クーベリック来日公演... >>