ゴセックの交響曲変ロ長調Op.6-6をリンデ指揮カペラ・コロニエンシスの演奏で聞く
作曲者 : GOSSEC, François-Joseph 1734-1829 ベルギー→仏
曲名  : 交響曲 変ロ長調 Op.6-6/B 36 (1762)
演奏者 : ハンス=マルティン・リンデ指揮 カペラ・コロニエンシス
CD番号 : Capriccio/51 105





ゴセックは長生きをしたおかげで…かどうか知らないけれど、音楽史上稀なバロック後期から古典派、そしてロマン派の台頭を体験した作曲家である。
この作品はまだ交響曲というジャンルが、器楽のための作品という意味しか持たなかった時代のもので、バロック後期のシンフォニアと考えて良いだろう。もちろんすでにハイドンは交響曲と名付けられた作品を書き始めていた。言うなれば、ハイドンのごく初期の交響曲に近い作品と評するのが最も近いのではないか。
全5楽章からなり、終楽章にメヌエットが置かれている。楽章順もそう意味があったわけではないのだろう。無論、ベートーヴェンの交響曲などまだ影も形もなかった。
1762年の作ということだが、モーツァルトはまだ六歳だったし、マンハイムの宮廷でヨハンの息子、カール・シュターミッツが活躍し交響曲など書き、全盛期を迎えるのはあと十年ほど経ってからのことである。
時代背景を知ると、この作品が、まだのどかな少し大きな器楽アンサンブルのための多楽章形式の作品という意味以上のことがなかったことがよくわかるが、故にこの作品ののどかで伸びやかな雰囲気は得難いものでもある。
すでにバロックではない。古典派初期のスタイルが確立されていることもよくわかる。バッハが亡くなって12年。生前からずいぶん時代が変わってきていたとは言え、このスタイルの変化は劇的だったと思う。でも4楽章にはフーガがおかれ、時代の名残を残してもいる。

ハンス=マルティン・リンデ指揮のカペラ・コロニエンシスは時代に合った奏法と編成でやるものであるが、さすがにどこをとっても音楽的で実に美しい。こういうピリオドの演奏もあるのかといつも彼らの演奏を聞く度に思う。
作品と演奏スタイルの間に一切の齟齬を感じない、幸せな時間がここにはある。得難い楽しみである。
モーツァルトと同時代の作曲家たちディッタースドルフ、ヴァンハル、クリスティアン・バッハ、マオー、ライヒャ、クラウスといったそうそうたる前古典派の作曲家たちの交響作品が極めて優れた演奏で収められている。
モーツァルト好きのみなさん、お薦めですよ!!

写真はツィナールから谷を登り、新田次郎氏たちが行ったムンテ小屋。ああ素晴らしかった…。すっかり想い出に浸りきっております…。
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by Schweizer_Musik | 2010-05-16 09:48 | CD試聴記
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