フェラスが弾くルクーのヴァイオリン・ソナタ
作曲者 : LEKEU, Guillaume 1870-1894 ベルギー
曲名  : ヴァイオリン・ソナタ ト長調 (1891)
演奏者 : クリスティアン・フェラス(vn), ピエール・バルビゼ(pf)
CD番号 : Brilliant/93791




二ヶ月ほど前にもこの曲をとりあげているので、ちょっとどうしようか迷ったけれど、聞き始めてもう止められなくなってしまった。(二ヶ月前の記事はこちら)
1960年代後半の録音であるから、最盛期のものと違うが、これまた伸びやかで実に美しい演奏である。何と言ってもこの音!!この絹漉しの細やかな響きを聞くことは、最近では滅多に無くなってしまった…。
バルビゼのピアノのまた素晴らしいこと!!どんなにフェラスが歌っても、ピタリとそれについていくだけでなく、フェラスにインスピレーションを与え、更に彼もフェラスの音に反応し、まさに音楽のダイアローグというべき世界が生まれている。これぞ室内楽である。
わずか24歳で亡くなったルクーが、21歳の時に書いたこのソナタは、成熟した天才の手による、傑作中の傑作。19世紀に書かれた多くのヴァイオリン・ソナタの中でも至高の作品の一つである。
若書きということで、習作のような言い方をする人が私の周りにかつていた。しかしだ!!くり返すけれど、この作品は成熟した天才の手による傑作なのだ。
グリュミオー、ボベスコといった名手の名演とともに、このフェラスの録音は、その完成度において比肩できる素晴らしいものだ。
終楽章の冒頭のように荒々しい部分でも、響きが決して荒れないというか、美しさをしっかり保持しながら力強い表現で不足を感じさせないのは、彼のボウイングの美しさ故であろう。どんなところでも彼のヴァイオリンからはきれいな輝きを持った美しい響きが聞こえてくる。まさに絶品…。
安くでこれを手に入れることが出来る。またお聞きでない方はぜひ一度お聞きになられていかがだろう。

写真は高層住宅のような(実際は町の高低差でそう見えているだけ…)フリブールの町。1992年にはじめてスイスに行った時、その四日目に一人列車に乗って向かったのがこの町だった。小糠雨に煙る町は、はじめて見るものに溢れていて、私のスイスへの思いは深まっていった。この後、ゴルナーグラートでの体験が私を何度も何度もスイスに引き寄せることとなったのだが、そのことはまたいつか…(笑)。
c0042908_10225342.jpg

by Schweizer_Musik | 2010-05-17 10:22 | CD試聴記
<< 午後から打ち合わせ ファリアーの歌うブラームスのア... >>