作曲者 : BACH, Johann Sebastian 1685-1750 独
曲名 : 前奏曲とフーガ 変ホ長調「聖アン」BWV.552 (1739刊) 演奏者 : ピエール・セゴン(org) CD番号 : GALLO/CD-246 イエスの母である聖マリアのその母、イエスからすれば祖母にあたる聖アンの名を持つこの作品は、イギリスの聖アン教会のオルガニスト、ウィリアム・クロフトが作曲したとされる賛美歌を使っていると言われるが、原曲を聴いたことがないので、果たしてそうなのか私は知らない。 ただ、バッハの時代には「著作権」などというものがなく、はるかに自由に創作が出来たことは羨ましい限りだ。他人の作品を自分の曲だと偽ってもうけようとしたりする輩が蔓延ってもいたけれど、音楽・芸術にとってはずっと住みやすい環境だったように感じる。 バッハぐらいの大音楽家が使ってしまうと、少々の作曲家の作品はバッハの音楽になりきってしまう。それほどバッハの個性は強烈で、深いものがある。 バッハのオルガン作品でどれが一番好きですかと尋ねられれば、ずいぶん困るだろうが、パッサカリアやトリオ・ソナタなどに心を残しつつも、この作品をあげるだろう。圧倒的なスケールで長大な作品なのに、時間を忘れてつい聞き込んでしまい、何度もリピートしてしまう。いや、一度では済まなくなるのがこの曲である。 演奏は、ハインツ・バリーがベルンにあるミュンスターのクーン社制作になる新しいオルガンを弾いたものを何年か前にミュンスターで購入したものが最も良いと思っている。これは日本では手に入らないだろうから、ちょっと紹介するには辛いので、往年の名オルガニスト、ピエール・セゴンが、ジュネーヴのサン・ピエール大聖堂のオルガンを使って録音したものをあげておこう。 カヴァイエ・コルによる大オルガンで1907年の制作のようだが、スイスの名工メッツラーが修復したりしている。 ベルンのクーン・オルガンに比べると、やや響きに透明感があり、エッジの効いた音はメッツラーの修復によるもののように感じる。 それにしても、セゴンの感傷など絶対に寄せ付けない厳しい演奏は、圧倒的なスケールで押し寄せてくる。彼が一時代を築いた大オルガニストであった所以であろう。 写真はそのオルガンを私が撮ったもの。何度か載せているものだが、そのオルガンをとりあげたので、もう一度貼り付けておこう。今年、このジュネーヴを訪れる予定である。お天気に恵まれれば、あの大聖堂の丘を歩いてみたいと思う。
by Schweizer_Musik
| 2010-05-25 07:03
| CD試聴記
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