マーラーの巨人をラインスドルフの指揮で聞く
作曲者 : MAHLER, Gustav 1860-1911 オーストリア
曲名  : 交響曲 第1番 ニ長調「巨人」(1884?-88/93-96改訂)
演奏者 : エーリヒ・ラインスドルフ指揮 ボストン交響楽団
CD番号 : RCA(TOWER-Records企画)/TWCL2007



その昔、中学二年だった私は、この演奏でマーラーをはじめて聞いた。もぞもぞ始まるところが、ヴィルヘルム・シュヒター盤であきるほど聞いていたベートーヴェンの第9の冒頭に何故か似てるなと思ったものであるが、その話はともかく、この演奏が私の「巨人」の刷り込みとなったのである。
これを今朝、何十年ぶりかで聞いて、あの中学生の頃に一気に戻ってしまった…。来る日も来る日もこれを聞いてマーラーの膨大な響きに浸りきっていたあの中2の冬が思い出される。郷里にはじめてできた大型スーパーの中にあったレコード屋で買ったものだった。印象深いレコードは買った店や、どんなお天気だったかとか、帰って聞いた時のことなど、今も結構鮮明に覚えているものである。ブルーノ・ワルターのモーツァルトの40番やマークと日フィルのモーツァルトの39番、ターリッヒの新世界、フルトヴェングラーのエロイカ、カラヤンの運命、ウィリアムスの演奏したテデスコのギター協奏曲、ルプーのグリーグとシューマンの協奏曲、あげていくとキリがないけれど、そうしたものの中にこの演奏も含まれている。
その後、ブルーノ・ワルターのステレオ録音、バーンスタインの最初の録音などを聞き、ラインスドルフを卒業して行き、CD時代に入るとすっかり忘れていたのだが、こうして久しぶりに復刻されたものを聞くと、なかなか良い演奏ではないかと思うのだが、どうだろう?
少々響きでデッドな感じがしないでもないけれど、エッジが効いていて、残響が多すぎるよりずっとこの方が作品の細かなところまで聞けてよいと思う。
忘れてしまうには惜しい演奏だったとつくづく思う。なかなか復刻されなかったので、すっかり忘れていたけれど、こうして聞くと、ラインスドルフという指揮者は、どうしてこうも日本で人気が無かったのか、私には理解ができない。
いずれにせよ、これを聞いている時間は、ああこうだったああだったと、昔のことを思い出しながら、楽しいひとときを送ることができた。
私のような感想を持つ方も多いのではないだろうか?

写真はチューリッヒのペスタロッチ像。1992年に撮ったもので、背景などこちらも今ではずいぶん変わってしまっている…。
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by Schweizer_Musik | 2010-07-01 07:28 | CD試聴記
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