ラヴェルのマダガスカル島の歌
作曲者 : RAVEL, Maurice 1875-1937 仏
曲名  : マダガスカル島の歌 "Chansons madécasses" M.78 (1925-26) (E.de パルニ詩)
演奏者 : ジャック・エルビロン(br), クリスティアン・ラルデ(fl), ピエール・デジェンヌ(vc), テオドール・パラスキヴェスコ(pf)
CD番号 : CALLIOPE/VDC-1264



第1曲の冒頭、バリトンとチェロのデュエットで、やがてピアノが加わり、フルートが鳥の歌を奏でる…。この魅力溢れる名作を、こんなに美しく演奏したものは他にないのでは…。
ジャック・エルビロンは他で聞いたことがないのだけれど、私にはこの録音だけで不滅となっている。飾らないピエール・デジェンヌのチェロもまた曲にとてもあっているし、パラスキヴェスコのピアノは知性に溢れていて、第2曲の 第2曲「アウアー、白人に気をつけろ」の品位をうまく保っている。こうした曲ではエルビロンの声が一本調子になりがちで、やや不満に思わなくもないが、これを室内楽奏者たちが見事に支えて、曲が過度に下品になったり、一本調子になるのを防いでいる。クリスティアン・ラルデのフルートにもっと輝きが欲しいなんて贅沢なことを言ってみたりするのは…(笑)、やはり止めておこう…。
第3曲「空気が和らかだから」で「心地よいことだ、暑い夏の午後に木陰に横たわり、涼気をもたらす夕方の風を待つことは」と歌う前にフルートの低音とチェロのフラジオが絡むあたり、遠くドビュッシーの「牧神の午後…」へのラヴェルのオマージュだったのではないだろうか。それでいてサウンドの透明感、極めて簡潔に書かれたスコアは実にユニークで、こんなイマジネーションに溢れた傑作を、もっと多くの人に聞いてもらいたいと思う。
ラヴェルはボレロしか書かなかったのではないのだ!!

写真はサッカー日本代表が南アに向かう直前に合宿していたサース・フェーからロープウェイで登ったレングフルーで出会ったアルプスマーモット。この用心深いアルプスの住人も、ここでは人なつっこいところを見せる。
レングフルーのレストランでマーモット用のエサが売っているので、それを買っていけば、餌付けもできる。
でも、そのせいか、ここのマーモットはずいぶん太っていた。この写真のマーモットはそれほどでもなかったけれど…。
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by Schweizer_Musik | 2010-07-04 22:09 | CD試聴記
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