ショーソンの詩曲をオイストラフの演奏で聞く
作曲者 : CHAUSSON, Ernest 1855-1899 仏
曲名  : 詩曲 "Poème" Op.25 (1896) : Lento e misterioso - Animato - Poco lento - Allegro
演奏者 : ダヴィド・オイストラフ(vn), シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団
CD番号 : BMG/BVCC-34426



私はこの曲がとても好きで、集めている。古いグリュミオーの演奏が一番好きなのだが、これほど惚れ込んでしまうと、どんな演奏でも一応満足してしまう。いや、演奏家を褒めるよりも、やはりショーソンのスコアが良いのだと言いたくなるのは、私が作曲を仕事としているからだろうか?
このほの暗い響きは、印象派以降の近代フランスの音楽には滅多に聞かれないもので、ショーソン独特のものである。というよりもこの曲独特と言ってよいだろう。
技巧的とはほど遠いソロは華麗さの対極にある静謐さをたたえ、穏やかに歩を進める。
私が愛するグリュミオーとロザンタールの演奏はこれを優美極まりないものとして提示するが、オイストラフはずいぶん肉付きの良い音楽となっている。シャルル・ミュンシュの指揮もデリケートな響きを大切にしていてほぼ満足できるが、彼の合わせ物に対するセンスの無さは、惜しいところで、歩の進め方が少し強引に聞こえるのは残念だ。もっと待ってくれれば良いのだけれど、少し前のめりになってしまう。オイストラフはそこを何処吹く風という感じで、サラリと流して聞かせるのだけれど、もっと深いブレスで聞きたいという思いは禁じ得ない。
でも、この演奏からもショーソンの響きしか出てこない。なんという凄いスコアなのだ!!
この曲に出会ったのは、大学生になってからだった。はじめて聞いた時、このほの暗い響きに完全に魅せられた。そしてそれが誰の演奏だったか…未だに思い出せない。曲のことばかり気になって、すぐにスコアを買いに行ったものである。今もそのスコア(できるだけ見やすいものをと思い、大判のコンダクター・スコアを高いお金を払って買った…)を手元に置いている。無論、聞く時にはスコアをみたりしないが、聞いた後、あれはどうなっていたのかと、スコアで確認したりすることはよくある。
毎回、何か新しい発見がある。凄いスコアだ!!寡黙でありながら、15分程度の長さを少しも冗長に感じさせず、聞かせるショーソンのスコアに、今朝も感動してしまった。
演奏家は誰でも良かったのだけれど、今朝は偶然オイストラフになっただけ…。ジノ・フランチェスカッティやデュメイ、イツァーク・パールマン、クリスティアン・フェラス…良い演奏は他にも一杯ある。

写真はサース・フェーに一週間ほど滞在した十年ほど前に撮った一枚。
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by Schweizer_Musik | 2010-07-11 07:19 | CD試聴記
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