ベートーヴェンのチェロ・ソナタ第2番をフルニエとグルダで聞く
作曲者 :  BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : チェロ・ソナタ 第2番 ト短調 Op.5-2 (1796)
演奏者 : ピエール・フルニエ(vc), フリードリヒ・グルダ(pf)
CD番号 : Grammophon/477 626-6



この録音の後、どういう理由でだったのかは知らないが、ヴィルヘルム・ケンプとフルニエはベートーヴェンのチェロ・ソナタを録音し直してしまったために、この旧録音は少し影が薄くなってしまったが、これが実に良いのだ。
ヴィルヘルム・ケンプとのものも円熟した至芸を味わうことができるが、こちらは才人グルダの颯爽とした共演が魅力で、これまた捨てがたい味わいをもっている。
これほどの出来映えなのに、どうして録音し直したのだろうと、私は不思議でならない。
フルニエのチェロが何しろ良い。貴公子だとか、プリンスとか呼ばれていたことを懐かしくも、少々苦々しく思い出す。彼は確かに品のある顔立ちで、そして物腰も、音楽も、全てにわたって格調というか、育ちの良さを感じさせる素晴らしい人だったようだが、音楽はのめり込むと大変大きな振幅でぐいぐい引っ張っていく。
このキャッチコピーでそんな思いこみでジュネーヴでの放送録音のバッハの無伴奏を聞いてビックリしたことを昨日のことのように思い出す。
確かに、TDKの東京文化会館でのライブなどはそういうコピーもなるほどと思わなくもないが、大体こういう宣伝用のコピーを鵜呑みにした私が悪いのだから仕方がない。
それにしても第2楽章の出だしでのグルダのチャーミングな弾き振りとその後のチェロとピアノの上品な対話を聞いていると、そうしたコピーも一面の真実でもあるのかなと思えてきて、ちょっと苦々しくも思い出してしまった次第である。
無論、フルニエにもグルダにも何の責任もない話であるが…。
でも、このちょっとマイナーな作品。よく聞くとなんとも良い曲で、まだちょっと疲れが残っていて、ぼんやり過ごしている今朝あたりにはピッタリの曲であり演奏である。

写真はヴァレー州の寒村アローラのはずれにある枯れ木…。何の変哲もないものだが、不思議と存在感があり、気に入っている一枚。
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by Schweizer_Musik | 2010-07-11 10:14 | CD試聴記
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