タンスマンのトリプティークを聞く
作曲者 : TANSMAN, Alexandre 1897-1986 ポーランド→仏
曲名  : トリプティーク "Triptyque" (1930)
演奏者 : ユルゲン・ブルンス指揮 ベルリン・チェンバー・シンフォニー・アンサンブル
CD番号 : EDA/EDA26



故芥川也寸志氏の愛した作品であり、同じタイトルの曲も書いておられる。トリプティークとは三連画という意味で、教会などの祭壇に観音開きに三幅の宗教画が掲げられているものなどを呼ぶ。無論教会のものだけではないが、私の好きなジョンゲンやマルタンの晩年の作品にもこの名を持つ作品がある。現代スイスの作曲家で寡作家で有名なモレにもこのタイトルの作品がある。他に北欧のヴィレンにもあるし、イタリアのピッツァーニもこのタイトルの曲を書いているし、ギリシャのカロリミスもこのタイトルで管弦楽作品を書いている。日本人も芥川也寸志氏の師でもある伊福部 昭氏にも「土俗的トリプティーク」という作品。
三楽章制の標題性を帯びた作品にそうしたタイトルが似合っているようである。
前置きが長くなってしまったが、このトリプティークは芥川作品と同じ弦楽合奏の作品である。弦の刻みの書き方やモードの選び方などに、芥川也寸志氏が大いに影響を受けた後が見受けられて、微笑ましくも思ったりする。タンスマンの作品ももともとは弦楽四重奏だったとか聞いたことがあるが、芥川也寸志氏の作品も後に破棄された弦楽四重奏から第2、第3楽章が転用されているのだそうだ。
私の好きなのは終楽章。この運動性、力強いエネルギーの横溢は素晴らしいと思う。
ユルゲン・ブルンスの指揮するベルリン・チェンバー・シンフォニー・アンサンブルは音にもう少し力が欲しい。音の芯がないので、音に説得力が今ひとつ感じられないのが大変惜しいところ。
しかし、このCDはそれでも現在のこの作品の唯一の弦楽合奏版のCDとして存在価値はありつづけている。iTune−Storeでダウンロードしたもので、ナクソスでも聞ける。

写真はサース・フェーで撮った一枚。夏らしいでしょ?
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by Schweizer_Musik | 2010-08-08 08:02 | CD試聴記
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