リストのピアノ協奏曲第2番をラザール・ベルマンの演奏で聞く
作曲者 : LISZT, Franz 1811-1886 ハンガリー
曲名  : ピアノ協奏曲 第2番 イ長調 S.125 (1839/1846-61改訂)
演奏者 : ラザール・ベルマン(pf), カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 ウィーン交響楽団
CD番号 : Grammophon/415 839-2



今日も仕事を着々とこなし、一日が過ぎていった。終戦の日ということで、平和を祈る曲をとも思ったけれど、広島・長崎の原爆の日にそうした曲を取り上げたし、このブログで政治的な話にあまり首を突っ込むことはしたくないので、やめることにした。
この曲は、私がアルプスに憧れるきっかけともなった曲である。スイスではなくフランス・アルプスのラック・ブランからグランド・ジョラスなどの夕景を撮った写真がジャケットに使われていたことがきっかけであった。
そのへんのことは以前に何度か書いたので、またまたくり返すようで恐縮だが、若いブレンデルが弾いたその音楽と写真はあまりにピタリと私の心にはまってしまったのだった。
以前の記事はこちらからどうぞ…
1) 温故知新 Vol. 6 ブレンデルとギーレンによるリストのピアノ協奏曲第2番
2) リストのピアノ協奏曲とアルプスの思い出

ただし、今回はブレンデルの演奏ではない。かつてリスト弾きとしても有名だったラザール・ベルマンが、ジュリーニと録音したもので、1976年頃の録音である。
最大の魅力はジュリーニ!!彼がウィーン交響楽団の首席であった最後の頃の録音で、意外にもこの組み合わせの録音は少なく、当時来日公演を聞いていたく感動した私は、このLPをいさんで購入したものだった。
果たして、オーケストラ部分の見事さは絶賛に値するものだったし、ラザール・ベルマンのよく響き、よく歌うピアノの見事さに心奪われたものである。
この第2番は人気がないのだそうだ。なぜだか私にはさっぱりわからない。第1番も好きだけれど、私はずっと第2番の方をより好んでいたからで、実演であまり取り上げられないことが残念でならない。
冒頭のハーモニーの連結なんて、これがベートーヴェンが亡くなってわずか十年あまりの頃に書かれたとは信じられないものとなっている。オーケストレーションはリスト自身の手も入っているが、ヨアヒム・ラフなどが関わっているようであるが、その独特のオケの扱いも含めてこの曲のもたらしたものの大きさは計り知れない。

1992年だったと思うが、ミューレンのホテル・クリスタル・ベルビューに泊まっていた時、夕食後のベランダで涼みながら聞いていたラジオからこの曲が流れてきた時は感動した。演奏は誰だったかさっぱりわからなかったけれど、夕闇に包まれていくベルナー・オーバーラントの山々が、この曲のハーモニーの陰りの中に融けていくように感じたものである。

写真は、そのミューレンのホテルのベランダからの風景。
リストのピアノ協奏曲第2番をラザール・ベルマンの演奏で聞く_c0042908_19394539.jpg

by Schweizer_Musik | 2010-08-15 19:39 | CD試聴記
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