作曲者 : RAVEL, Maurice 1875-1937 仏
曲名 : ヴァイオリン・ソナタ (遺作) "Sonate posthume" M.12 (1897) 演奏者 : 松田理奈(vn), 清水和音(pf) CD番号 : VICTOR/VICC-60751 この優しげで、洒落たハーモニーによる、ラヴェルのごく初期の作品は、エネスコのヴァイオリン、ラヴェル自身のピアノで演奏されているのだそうだが、生前にはとうとう出版されず、1975年に発見されるまで、楽譜は行方不明だった。 出版された後の作品は、3楽章制の、ジャズのイデオムなどが取り入れられた才気あふれる作品であるが、この初期の遺作の作品は単一楽章の作品で、15分ほどの曲である。パスキエとペヌティエはゆったりと16分ほどで演奏しているが、シトコヴェツキとダヴィドヴィッチの母子共演では14分あまりとなっている。 2004年の音コン一位の松田理奈さんのヴァイオリン、そして今やベテランとなった清水和音氏のデュオである。ライブ録音とのことだが、大変状態の良い録音で、実に聞きやすい。が、それ以上にとても流れが良いのが印象的で、13分半の演奏時間である。 時間でその解釈の特徴がわかるわけではない。事実、松田、清水の演奏は全く速いという印象は受けない。音楽がぎっしり詰まっている感じだ。 これが書かれたのは1897年。まだ重要な作品は書いていないけれど、「古風なメヌエット」や歌曲の「クレマン・マロの2つの諷刺詩」などをすでに書いていて、1899年には有名な「亡き王女のためのパヴァーヌ」を書いている。 ハーモニーやリズムの斬新な冒険は、後10年ほど後のことであるが、すでにその萌芽がこの作品の中にもいくつも聞かれるのである。 そんな若いラヴェルの才気を秋の夜長に楽しむのもまた一興であろう。 写真は前の写真と同じ辺りから撮った一枚。私の愛してやまないソーリオの村の姿である。
by Schweizer_Musik
| 2010-10-01 00:15
| 秋の夜長に音楽を聞く
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