ショパンは今年生誕200年というアニヴァーサリー・イヤーを迎えていて、何かとイベントもあり、多くのCDが出ている。ショパン・コンクールがあって、アルゲリッチ以来という女性の優勝者が出たとのこと。そんなに出ていなかったっけと不思議に思うけれど、どうもそうらしい…。ディーナ・ヨッフェなんて一位ではなく二位だったっけ。日本人の優勝者がいないのもあのコンクールだけ…かな?
まっ、色々と思うけれど、私はあまりショパンが好きでない。仕事で聞くことはあっても、そう自らショパンが聴きたくてということはない。しかし、彼が天才であり、唯一無比の作曲家であることくらいは知っている。 そこであまりとりあげないショパンについてちょっと書いてみようと思う。 バラードもそういう面があるのだけれど、ショパンの音楽の多くがある2音から3音の変奏で出来ているなどというのはちょっと暴言かも知れないが、そういう傾向があり、ショパンらしさの背景となっていると私は考えている。 それは、この即興曲に特によく出ていて、4つの即興曲がまるで一つの楽想を変容させて出来上がっているようにさえ思えてくるほどである。 第1番の主題は以下のとおりである。まず第1主題。ピアノで細かなパッセージで装飾音で飾られたせわしない主題である。 第2主題は並行調のヘ短調に転調して、対照的に堂々とフォルテで歌い上げられる。 この2つの主題の性格の鮮やかな対比は見事である。が、両者は同じ素材で出来ていることにも気づく。それは最初がEs音から途中C音-As音を経由してオクターブ上のEs音へと上がる第1主題に対して、第2主題もC音から途中F音やAs音を経由してオクターブ上のC音へと至る主題であるということである。 言うなれば分散和音的にオクターブ上行するものなのだ。 実は、4つの即興曲が全て、この手法で出来ているのである。調が変わるだけで基本的に同じ構造を持っているのである。 本当か?第2番の即興曲の主題は次のようなものである。第1番の主題との関連性は明白であろう。 第3番ではこういう導入を持つ。この後、同様にB-Ges-Bとオクターブ上へと飛躍する。 有名な第4番「幻想即興曲」はあげるまでもないだろうが、一応最初の動機だけあげておく。これでわかるように主題は全て共通する背景、即ちオクターブ上行する分散和音を変奏して得られていることは明白である。 4曲が同じ作りで出来ているのだから興味深い。ショパンの創造の源泉に触れたような気がしてならないのだ。これを頭に置いてショパンの様々な曲を聞くと、彼の発想のとっかかりが分かってくる。 この話題はまたいつか触れてみたいと思う。
by Schweizer_Musik
| 2010-10-26 00:36
| 音楽作品分析
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