ベルリオーズの幻想交響曲を小澤征爾指揮ボストン交響楽団で聞く
作曲者 : BERLIOZ, Hector 1803-1869 仏
曲名  : 幻想交響曲 Op.14 (1830)
演奏者 : 小澤征爾指揮 ボストン交響楽団
CD番号 : Grammophon/431 169-2



確か、トロント交響楽団ともこの曲を小澤は録音している。サイトウ・キネンとも録音しているから都合三度レコーディングした得意の曲とも言えるかも知れない。
1973年2月の録音であるからこの年のシーズンから音楽監督に就任するボストン交響楽団との顔合わせである点も含めて注目の録音と言えよう。
ボストン交響楽団のかつての音楽監督でもあったシャルル・ミュンシュが得意としていた作品でもあり、ここでの演奏も白熱した良い演奏だと私は思う。
小澤はミュンシュのようにアゴーギクを多用してこの曲のサイケデリックな側面を強調するのではなく、音楽的に真っ正直にとらえたもので、最初聞いたときは少し物足りなく感じたものである。
しかし、何度か聞き込む内に私はこの演奏の深みにドップリとはまってしまった。アンサンブルがしっかりしていて弦の響きなども実になめらかで美しい。コンマスは色々あったシルヴァーシュタインであろう(単なる私の推測だが…)。
第2楽章の冒頭。ハープがきちんと揃うように無理なテンポで入らず、抑え気味にまとめたあたりのクレバーさはさすがだ。二台のハープがそろわず、絶望的な出だしになることが多い部分だ。無論録音だから何度もやれば合うだろうが、彼は安全策を選ぶ。 
全てがそうではないが、総じてオーケストラに無理をさせないで自然に音楽そのものに語らせるかのような演奏スタイルは個性的というよりもオーソドックスで、一部の人にとっては物足りないと感じさせる一因ともなっているようだ。でも彼は無理に個性的であろうとするより、スコアを真摯に研究し、そこから最善の方法をとろうとしている。そこにこそ彼の指揮の特徴があるように私は思う。そしてこのベルリオーズの演奏から聞こえてくるものは、ベルリオーズの見事なスコアの音そのものなのである。
音楽に関わる者としてこんなに頼もしい指揮者はそういないのではないだろうか?

写真はソーリオの村はずれの風景。シオーラの山並みに見守られ、牧草地が緑に輝いていた!!
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by Schweizer_Musik | 2010-11-07 12:05 | CD試聴記
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