リストの「リゴレット」によるパラフレーズをシフラの演奏で聞く
作曲者 : LISZT, Franz 1811-1886 ハンガリー
曲名  : ヴェルディの「リゴレット」によるパラフレーズ "Rigoletto: Paraphrase de concert" S434/R267 (1859)
演奏者 : ジョルジュ・シフラ(pf)
CD番号 : Hungaroton/31596



古い録音で、シフラがパリに出てくる前か後かは知らないけれど、その前後の若い日の録音である。ステレオであるが、盛大なテープ・ノイズが付いているので、ちょっとイコライジングして聞いている。
しかし、ここで聞くシフラの輝きに満ちた演奏の素晴らしさはどうだろう。リストの演奏もこうだったのではと思わせる輝き!!ユンディ・リ(李雲迪)の演奏と比べても、シフラの目覚ましさは際だっている。カンタービレの素晴らしさ!!これはショパン・コンクール優勝のユンディ・リの演奏も敵わない…。
大体、多くの録音でテンポが速過ぎるように思われるが、このシフラ盤のタップリとした歌い込んだ演奏は実に魅力的である。私の好きな演奏は他にチェルカスキー(ASV/CD QS 6109)とホルヘ・ボレ(ensayo/3406)である。スタイルはシフラと全く違うものの、カンタービレが何とも美しい。アルフレッド・コルトーなどをこれに入れたら、アナクロと嗤われそうなので、やめておく…。
しかし、こうした華やかなパラフレーズはやはりロマン派のものなのであろう。現代では全く作られなくなったジャンルである。そのわりには、この曲など人気があるようで、新録音がよく出てくるように思われる。多分ヴェルディのメロディーの力なのだろう。それに注目したリストの眼力と、それを華やかなピアノ作品に仕立てるセンスがあってのことである。
19世紀のサロンで、こうした作品がきっと人気を博していたのであろう。需要があるからこそ書かれるのだ。クラシックな音楽だって、当時の流行の先端であったのである。

写真はサン・サルヴァトーレ山山頂の木漏れ日の美しい小径。きっとここにはブルーノ・ワルターやアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリもやって来たに違いない。そう思うと、なんだか楽しい…。
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by Schweizer_Musik | 2010-11-16 08:00 | CD試聴記
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