シューマンの交響曲第4番をクレツキ指揮で聞く
作曲者 : SCHUMANN, Robert Alexander 1810-1856 独
曲名  : 交響曲 第4番 ニ短調 Op.120 (1841/51改訂)
演奏者 : パウル・クレツキ指揮 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
CD番号 : DOREMI/DHR-7860〜1



クレツキのシューマンの交響曲全集は、これしか知らない。多分これだけなのだろう。1956年の録音で、音はお世辞にも良いとは言えない。モノラル録音でどうも疑似ステレオのようであるが、盛大なテープ・ヒスが入っている。私はイコライジングして、耳障りな音をカットして聞いているが、盛大なノイズがのっている。
しかし、この演奏を包む異様なまでの緊迫感はどうだろう。まだ若いオーケストラであった頃のイスラエル・フィルが、必死にクレツキの棒に食らいついていっている様子がうかがえる。
集中力の勝った、素晴らしい演奏である。ただ余情とか、そこはかとない感情のもつれなんてものは期待しない方が良いだろう。でも第2番なんてのもなかなか良い演奏だったから、ただ録音がちと悪いせいかなと思ったりもする。
周辺諸国との軋轢の多い国故に、戦争でエーリヒ・ラインスドルフなどたしかコンサートをキャンセルして慌てて帰国したとかいうことがあった。あの時はズビン・メータが代振りでコンサートを行ったはずだが、ユダヤ人として戦争で辛酸をなめ尽くしたクレツキだからこそ、この若い中東のオケへの客演は早い時期から積極的だったようで、マーラーの名演も残されているそうだ。
このシューマンもまたクレツキの指揮芸術を代表する名演なのではないだろうか?ベートーヴェンなどちょっと大人しい演奏に聞こえてしまうほど、ここに聞くクレツキは熱い!!

写真はチューリッヒからサンモリッツへとむかう途中の車窓の風景。車内から慌ててシャッターを切ったので、ブレブレなのだけれど、朝の光に輝くチューリッヒ湖がとても美しく思えて、結構好きな一枚なのであるが…(笑)
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by Schweizer_Musik | 2010-11-30 21:22 | CD試聴記
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