ベートーヴェンの交響曲第1番をパーヴォ・ヤルヴィの清新な演奏で聞く
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : 交響曲 第1番 ハ長調 Op.21 (1799-1800)
演奏者 : パーヴォ・ヤルヴィ指揮 ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
CD番号 : BMG/BVCC34166



パーヴォ・ヤルヴィによるベートーヴェンのシリーズから第1番を聞いてみた。清新な解釈でなるほどそういう解釈もあるのかと思う一方で、頭の硬い私は伝統的な解釈とあまりに違うあれこれに振り回されてしまった。
ベーレンライター版に準拠しての演奏なのだそうだけれど、版のことなど書かれたところで、どれだけそれが意味のあることなのか、わかって言っているのか不明な意見も多く、私も同じようなことを書き立てるつもりは全くない。
それよりも6-6-6-4-3という弦の対向配置とビブラートをほとんどかけない奏法による音楽は、伝統的なそれと全く違う響きと世界観を呈している。
第1楽章の序奏と主部の対比はそれでも実に鮮やかだし、解釈のスジは通っていて説得力は充分にある。恣意的な印象はあまり受けなかった。ノーリントンなどでは恣意的に私は感じてしまうのだけれど、ヤルヴィの演奏はそうした印象はない。
しかし、第2楽章はAllegrettoくらいに私には聞こえてしまう。ベートーヴェンの指示はAndante cantabileである。軽快なテンポであっさりとした歌いあげでちょっと寂しい感じが残る。ポリフォニックな絡み合いの方に注意がいってしまい、メロディーが落ち着いて歌っていない感じが残る。
第3楽章はスケルツォを予感させるメヌエットであるから、このテンポは全く違和感が無いし、トリオでもテンポを落とさず、いくところもとても良い。テンポの変化はベートーヴェンは指示していないのだ!!
終楽章もユーモアあふれる開始部から主部への移行、主部のテンポもふくめ実に良い感じである。アクセントの付け方など随所にユニークなヤルヴィ独特の解釈が聞かれるものの、それがベーレンライター版だからなのかどうかは不明である。
後半の2つの楽章の演奏は大変気に入ったけれど、最初の2つ、特に第2楽章は私にはあまり楽しめない演奏であった。

写真はツークの旧市街。
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by Schweizer_Musik | 2011-01-10 21:41 | CD試聴記
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