ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第13番をコヴァセヴィッチの演奏で聞く
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : ピアノ・ソナタ 第13番 変ホ長調 Op.27-1 (1800-01)
演奏者 : スティーヴン・コヴァセヴィッチ(pf)
CD番号 : EMI/TOCE 55198



ソナタ形式の楽章を一つも持たないベートーヴェンの実験的なピアノ・ソナタOp.27の最初の曲。2曲目があの有名な「月光」である。
「月光」があまりに有名になり過ぎて、幻想風というタイトルをベートーヴェンはこの2曲につけたのだけれど、今ではこの13番にだけ使われることが多くなってしまった。
それにしても面白い作品である。ベートーヴェンは類型的な作品など一曲も作らなかった。彼の創造性はあの時代を思えば空前絶後のものだったが、ピアノ・ソナタ32曲はそれを最もよく表していて、一曲たりとも同じような構造、発想で書かれていないのである。一曲ずつ異なるコンセプト、アイデアを投入しての作曲は、彼以前の多くの作曲家たちの仕事ぶりからすると、明らかに新しい一つの革新であった。
ピアノは彼が知っていたものと現代では違う。しかし、この空前絶後の男の頭の中には来るべき時代の音がすでに鳴っていたのではないか。そう思わないととても理解できない革新を一曲ずつに与えたのである。恐るべき人であった。
コヴァセヴィッチのピアノの鳴りの良さはいつ聞いても素晴らしい。ああこの演奏の素晴らしさも今更私が述べ立てる必要などないだろう。
第1楽章と終楽章が実は同じ素材から出来ていてシンメトリックな構造をこの演奏ほど明らかにしてくれるものも少ない。名演である。

写真はツーク旧市街の時計塔。観光客もほとんどおらず、静かな町だった。湖畔のプロムナードも良いし、住むには良いだろうなぁと思う。
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by Schweizer_Musik | 2011-01-10 22:14 | CD試聴記
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