トゥリーナのピアノ三重奏曲第1番をハイフェッツ他の演奏で聞く
作曲者 : TURINA, Joaquin 1882-1949 スペイン
曲名  : ピアノ三重奏曲 第1番 Op.35 (1926)
演奏者 : レナード・ペナリオ(pf), ヤッシャ・ハイフェッツ(vn), グレゴル・ピアティゴルスキー(vc)
CD番号 : 不明…(classicjapan.netよりダウンロード)



スペインの作曲家トゥリーナは、スパニッシュのローカル作曲家とは一線を画している素晴らしい作曲家だった。この作品の切羽詰まったような出だしは極めてユニークだし、1926年に書かれたものとしては大変先鋭な表現で、単純にとらえることなど到底できない作曲家である。
新古典主義の影響下にある作品で、第1楽章が前奏曲とフーガ、第2楽章が主題と変奏曲、終楽章がソナタということになっている。
第1楽章は聞いた感じでは、フーガというより、フーガ的技法によるトリオという印象で、かなり自由に書かれているようだ。
第2楽章の主題と変奏はほの暗いテーマが白々と光が増していくような美しい音楽で、独特の味わいである。最後の変奏でのスパニッシュな味付けに、ちょっとニヤリ。でもあざとさは全く感じられない、品の良い表現でそれが普遍的な表現へと昇華していく様はなかなかの聞き物だ。
終楽章のソナタは力強い表現の第1主題と、伸びやかな第2主題の対比が美しいソナタ形式で書かれている。
しかし、なんという演奏なのであろう。百万弗トリオから、アルトゥール・ルービンシュタインが抜けて、ペナリオが加わった演奏は、彼がいかに優れたピアニストであったかを示している。ルービンシュタインがここにいないのは、多分この曲をレパートリーとしていなかった為ではないか?結構単純な理由であった気がする。
ハイフェッツとピアティゴルスキーはいつもどおり、鋭利な切っ先のような切れ味鋭い演奏で、迫力満点だ。ペナリオのタッチの美しさ、表現の素直さが演奏に潤いをもたらしている。
ソリアーノなどの演奏でも聞いているが、この演奏の迫力は凄まじい。一度お聞きになることをお薦めしたい。

写真はバーゼル近郊のアーレスハイムの修道院。
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by Schweizer_Musik | 2011-02-06 01:53 | CD試聴記
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