ウォルトンのチェロ協奏曲を見る
タイトル(or 曲名) : ウォルトン/チェロ協奏曲
出演者 : グレゴル・ピアティゴルスキー(vc), マルコム・サージェント指揮BBC交響楽団
DVD番号他 : EMI/DVA 4928419




1957年2月の収録で、モノクロの映像であるが、音質はまあまあ聞ける水準で鑑賞には耐える。シャルル・ミュンシュと組んだ録音が知られているけれど、このマルコム・サージェントとの演奏では、指揮がピタリとソロにつけているのでより音楽がしなやかに歌いあげて美しい。
私は指揮者としてのシャルル・ミュンシュを最高に評価するけれど、彼の合わせ物はどれも良くない。どういうものか、彼の演奏で聞くと強引に聞こえるところがあり、このウォルトンでもそれが不満だったのだが、サージェントにはそうした不満は無い。ミュンシュのような弾むような強烈な個性もないけれど…。
しかし、この熱い音楽をピアティゴルスキーとの化学反応のおかげか、大変熱く歌い上げていて、これは大変な名演だと思った。
冒頭の属9のハーモニーの分散和音によるテーマはいかにもウォルトン!!ヴァイオリン協奏曲やヴィオラ協奏曲で用いた技法をここでも使っている。3曲ある弦のための協奏曲では、ヴィオラ協奏曲が1929年に最初の版が完成しており、ヴァイオリン協奏曲はその10年後の1939年に書かれた。チェロ協奏曲は戦後の1956年に作曲されていて、最も遅く書かれているけれど、スタイルはヴィオラ協奏曲からほとんど変わっていないことに驚く。確立され尽くした様式だったということなのであろう。
20世紀に書かれた作品ではあるが、前衛的な表現とは隔絶した、聴衆とともにあったウォルトンのスタイルは、20世紀の前衛が行ってきた多くの実験と失敗からも隔絶している。それは、ハリウッドの映画音楽により近く、ラフマニノフからロシアの要素を取り除き、4度和声などのストラヴィンスキーの1920年代の技法を少しばかりブレンドして出来ている。
オーケストラの技法は天才的で、そのオーケストレーションはモーリス・ラヴェルなどの技術を継承しており、その意味でヴォーン=ウィリアムズなどと並び称されるべきでもある。
更にこのチェロ協奏曲は傑作だ。トルトゥイエの演奏でも持っているけれど、ここで聞くピアティゴルスキーは圧倒的だ。この演奏がちゃんとしたステレオ録音で残されなかったのは残念至極!!まっ、ピアティゴルスキーのボウイングの妙を見ることができるだけでもかけがえのない価値があるけれど…。第2楽章の凄い演奏は特筆大書すべきもの!!終楽章での変幻自在ぶりも耳と目が離せない!!生だったらどんなに感動したことだろうか。ここでもその一端は感じられる。
私の大好きなフルニエとは違い、大柄でやや素っ気ないチェリストに思っていたけれど、大きな間違いだったとこの映像を見て思った。

写真はピラトゥス山頂からの風景。左下に登山鉄道が見えている。世界最急勾配を登る列車である。無論、ケーブルカーではない。見かけは似ているけれど…(笑)。
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by Schweizer_Musik | 2011-03-11 07:43 | DVD/スカパー!視聴記
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