モーツァルトのピアノ・ソナタ第1番をピリスの演奏で聞く
作曲者 : MOZART, Wolfgang Amadeus 1756-1791 オーストリア
曲名  : ピアノ・ソナタ 第1番 ハ長調 K.279(189d) (1775)
演奏者 : マリア・ジョアオ・ピリス(pf)
CD番号 : Grammophon/477 5200



マリア・ジョアオ・ピリスには確かDENONからもう一つの全集が出ていたけれど、これは二度目の録音。最初の録音も美しい演奏だった…。
アリシア・デ・ラローチャの全集がお気に入りで、定番の内田光子も良いし、マリア・ジョアオ・ピリスも…。古いイングリット・ヘブラーの全集は中学生時代に聞いて、今ひとつピンと来ず、全集も聞いたけれど、繊細に過ぎて天真爛漫なモーツァルト像の変幻自在の姿を捉え損ねているような気がして、再録音も聞かずにいる。
このピリス盤はその変幻自在に表情を変えてあちらこちらに飛び回って歌い舞うモーツァルト像を見事に捉えている。第1楽章の冒頭のテーマの演奏でかすかなアゴーギクで「タメ」を感じさせるのに対して、緩やかな快速(変な言葉だけれど…)で歌う部分との対比は、そのまま第1主題と第2主題の性格の対比となっているあたり、ピリスの術中に私は完全にはまってしまった。
第2楽章もまた決して遅すぎず、かといって速すぎず、なんとも良いテンポで歌い始めて、とこもどころにアクセントを利かせて、決して厭きさせない。繰り返しがあってもこれならば納得である。繰り返しなしのヴァルター・クリーン(VOX盤)では四分足らずで演奏しているのに対して、ピリスは九分弱…。
終楽章も典雅で、こんなに高貴な演奏もそうはあるまい。今朝は良い気分で仕事をはじめられた。今日も一日がんばろう。

写真はルツェルンのトリブシェンのワーグナーの旧居へと向かう湖畔の道。ワーグナーの時代とはちと変わっているだろうが、この道をワーグナーは歩いていたに違いないと、
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思ったりする。
by Schweizer_Musik | 2011-03-27 07:51 | CD試聴記
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