千葉県少年少女オーケストラ第15回定期演奏会に行ってきた
千葉県少年少女オーケストラ第15回定期演奏会に行ってきた。指揮は佐渡 裕氏で、コーラスは東京オペラシンガーズ、ソプラノが並河寿美さん、メゾ・ソプラノが谷口睦美さん、そしてテノールが福井敬氏、バスは福島明也という布陣でのコンサート。
まず、震災の犠牲者と被災者へ捧げるとして拍手なしでのバッハの管弦楽組曲第3番より「エア」が演奏され、続いて千葉県知事の森田健作氏のご挨拶。
そしてヴェルディの歌劇「運命の力」より序曲が演奏され、続いてヴェルディのレクイエムが上記の布陣で演奏されたのであった。
歌、合唱、オーケストラ、全てが一体となった素晴らしい演奏で、細部でのライブゆえの小さな出ミスなどはあったけれど、そうした細かなことは全く気にならない圧倒的なエネルギーで、昨今の情勢を思えば、偶然にしては誠にピッタリの選曲で、深く心を動かされた。
オーケストラは入念に仕上げられていて、佐渡 裕氏のエネルギッシュな指揮によく応えていた。歌手陣の出来映えはちょっとした出ミスに「あれ?」て思ったけれど、それはともかく、大変良い出来映えで、アニュス・デイなど完璧に歌いこなしていたし、各ソロも実に素晴らしい出来映えであった。
この布陣であれば当然と言えば当然であろうが、今までそう多くこの曲を実演で聞いていないので、エラソーなことは言えないけれど、聞いた中では最高の出来だったと思う。
アンコールに出演者全員での歌劇「ナブッコ」から「ゆけ我が思いよ、黄金の翼に乗って」が演奏され、完全に涙腺を刺激されてしまった。この曲はいつも私の涙腺に直接働きかける何かを持っているようで、今回もやられてしまった…。
今度の初夏の横浜と東京でのノイエ・ムジカ東京の演奏会でヴァイオリンを担当するNさんは第2ヴァイオリンのトップに座っていた。彼女の近年の成長ぶりとともに、今日の演奏会はいつまでも心に残るものだった。
歌舞音曲は、国難の非常時にあって、自粛ムードが濃厚であるが、それでは私は駄目だと思う。震災に被災した方々へ心を寄せ、思いを出来る限り共有したいと思う。
が、みんなで沈んでしまっては、誰も手を差し伸べられなくなる。私たちのような音楽をやっている者は、こうした時には全く無力であるけれど、心に明かりを灯す仕事ができると思うし、元気に仕事をすることでこの国難に立ち向かう人々を支えたいと思う。
自粛ばかりでなく、復興への歩みを元気に進めたいと心から願う次第で、このコンサートは私にとっても心機一転を期する良い機会であった。約一ヶ月ぶりの演奏会…であった。
NさんをはじめSさん、Uさん…みなさんお世話になりました。

写真はルツェルンのイエズス教会。第二次世界大戦前夜、ここでアルトゥーロ・トスカニーニが寄せ集めのオーケストラ相手にヴェルディのレクイエムを指揮し、ヨーロッパ中に放送されたことがあった。戦争という足音に対して、平和を祈念してのことであったが、その願いは残念ながらかなわなかった。
音楽家のできることは大したことは何もない。でも、その音楽が伝えようとした想いはヨーロッパの多くの人々に伝わったことと思う。だから、戦後まもなく再開したルツェルン音楽祭で、所謂連合国側の音楽家と枢軸国側の音楽家の共演が実現し、和解の音楽祭として開催されることとなったのだと私は思う。
ああ、今年は行けそうもないけれど、またいつか、あの素晴らしいルツェルンの音楽の日々を体験しに出かけたいと考えている。
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by Schweizer_Musik | 2011-04-02 23:04 | コンサートの感想
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