作曲者 : DVOŘÁK, Antonín 1841-1904 チェコ
曲名 : ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.53 B.96・108 (1879-80) 演奏者 : リカルド・オドノポソフ(vn), ワルター・ゲール指揮 パリ交響楽協会管弦楽団 CD番号 : DOREMI/DHR7874 (ダウンロードしたい方はこちら) 昨日の夜、寝ようと思ったら結構大きな地震に驚き、テレビを急いでつけて情報を得ようとした。そうすると先日の大地震の余震だとかで、津波警報まで出ていて、先日の悪夢のような光景が思い出されてしまい、気分が悪くなった。 東北の方ではかなり大きな地震にきっと不安な一夜を過ごされたことと思う。心からお見舞い申し上げたい。 さて、このDOREMIレーベルは、大手が見向きもしない、コンサート・ホール原盤の貴重な演奏を数多く復刻してくれているのは嬉しいのだけれど、LP初期盤の板起こしらしく、盛大な針音が入るのが難点で、オドノポソフのこのCDも一万近くで売られているものの、これらの音楽を楽しむために紹介するにはちょっとはばかられる。 また、サン=サーンスの序奏とロンド・カプリチオーソ、ハバネラ、ショーソンの詩曲など、モノラルで入っているし1955年の録音とあるのだけれど、DORONレーベルでステレオ盤が出ていて(DRC-4004)そちらでは1960年録音とされており、状態もずっと良かったりするので、お薦めすべきではんいのかも知れない。 けれど、この貴重で素晴らしい演奏を聞いてしまうと、つい紹介したくなってしまう。コンサート・ホール盤ではSMS2100という番号で出ていたもので、私も中古のLPでかつて持っていた。 パリ交響楽協会管弦楽団は、この時代のいくつかのLPで聞いたことがある。レイボヴィッツの指揮した「グレの歌」はとうとう手に入れることが出来なかったものだが、確かこの名前のオケの演奏だった。パリ音楽院管弦楽団かなとも思うが(パリ音楽院管弦楽団の正式名称がOrchestre de la Société des Concerts du Conservatoireだから…)よく分からない。 指揮者のワルター・ゲールはシェーンベルクの弟子で、イギリスに亡命したドイツ系のユダヤ人指揮者。コンサート・ホール・ソサエティなどの録音でずいぶんたくさんの演奏が残されているが、そのおかげで、二流のようなレッテルを貼られているけれど、この演奏などを聞けば、素晴らしい職人だったことがわかる。 そして、先日とりあげたオドノポソフのソロの良いこと!! フェリックス・ワインガルトナーとベートーヴェンのトリプル・コンチェルトを録音したりしているが、戦前のウィーン・フィルの名コンマスの一人だった。イザイ・コンクールでダヴィド・オイストラフと競い、オイストラフが一位、そしてオドノポソフが二位となったこともある。(当日、ウィーン・フィルのコンマスとしての仕事を終えて急ぎかけつけてコンクールに参加したもので、その前にウィーン・コンクールで一位になっている) それだけでも、オドノポソフがいかに凄いヴァイオリニストであるか分かって戴けるのではないだろうか。CD時代にクライスラーなどの小品集が復刻されて、嬉しくなって聞いたらその素晴らしさに絶句…。懐かしい想い出である。 良い演奏!!いかが? 写真は世界遺産な登録されているスイス東部、レーテッシュ鉄道のベルニナ線からの車窓の風景である。凄まじい標高差をラックレールを使わずに越えていく凄さ。これは鉄道ファンならば一度は乗っておくべきものだ。 2011年4月16日追記 DORON/DRC 4002の番号を持つ、復刻盤がようやく手元に届いた。前から注文を出していたものなのだが、聞いてみて、かつてLPで聞いた時の美しい音が聞こえて来た。同じ録音のはずだが、DORON盤はステレオで(プレゼンスはちょっと疑似ステレオと思われるが…)針音などのノイズはなく、正規の復刻と思われる。 これはDOREMIの劣悪な復刻で聞くよりもこのDORONの復刻で聞くのが正しい。 聞いた印象は多分ずいぶん違ってくるはずだ。同じ盤にはグラズノフの協奏曲も入っている。ちなみにDOREMI盤では1953年とあるが、このDORON盤では1957年録音とある。多分後者の方が正しいのではないだろうか?
by Schweizer_Musik
| 2011-04-08 07:31
| CD試聴記
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