テレマンの「ガリヴァー組曲」をオノフリと杉田せつ子の演奏で聞く
作曲者 : TELEMANN, Georg Philipp 1681-1767 独
曲名  : ガリヴァー組曲 "Guliver Suite" TWV 40:108 (1728)
演奏者 : エンリコ・オノフリ(vn), 杉田せつ子(vn)
CD番号 : Anchor Records/UZCL-1003



一昨日、いつも使っているIMSLPのサイトにアクセスできない状態で、サーバーがダウンしていたようだったが、今朝、再び行ってみると、再開していたので、ちょっと安心…である。
なくなるともう困るという状態になっているサイトである。大体、授業などで必要な楽譜は、ここでほとんど手に入るので、実に重宝している。だから、無くなると一気に困った状態になる。探せばあちこちに楽譜はあるのだけれど、ここのサイトは網羅的に置いてあるので、古典の名作ならほぼ全てがダウンロードできるというのは、音楽を学ぶ者にはどれだけの福音となろうか!!
さて、新しいCDが届いた。イタリアの古楽団体、イル・ジャルディーノ・アルモニコのコンサート・マスター、エンリコ・オノフリの無伴奏ヴァイオリンのCDで、その中で唯一、二本のヴァイオリンのための作品が入っていて、これがとても面白かったので、とりあげようと思う。
大体、テレマンという人もまた、ヨハン・セバスティアン・バッハの影に隠れて、ターフェルムジークなどの他はあまり聞かれないところがあるが、熱心なバロック・ファンはテレマンがいかに偉大な作曲家であったかくらいは当然知っている。
無伴奏のフルートの曲も有名だが、無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲もすばらしい作品で、バッハのものと並んで、バロック後期を代表する名作の一つだと思う。
ところで、このガリヴァー組曲は、有名なスウィフトの話をもとに5曲からなる組曲にしたもので、いかにもテレマンらしい企画ものである。
1728年に出版されていて、スウィフトの作品が出版された3年後に書かれたものである。
第1曲 イントラーダ "Intrada"
第2曲 リリパット人のシャコンヌ "Lilliputsche Chaconne"
第3曲 ブロブディンナグの巨人のジグ "Brobdingnagische Gigue"
第4曲 ラピュータ島の住人たちの空想と目を覚まさせる下僕たち "Reverie der Laputier nebst ihren Aufweckern"
第5曲 礼儀正しいフウイヌム人のルール(1st vln)/野人ヤヌーの野蛮な踊り(2nd vln) "Furie der unartigen Yahoos"
という5曲から出来ている。
二本のヴァイオリンを対照的な表現で聞かせる5曲目など、なかなかに面白い。こうした自由さこそがバロックの神髄であったことを、バッハのような峻厳な作曲家を意識してつい見落としがちだが、実際には歪な真珠という意味でもあるバロック音楽は、複雑になりすぎたルネッサンスの音楽から、単純化、そして自由な表現を目指したものだったと私は勝手に解釈しているが、当たらずといえども遠からず…ではないだろうか?
いずれにせよ、このCDに納められた作品の数々は、エンリコ・オノフリの超絶技巧が楽しめる。1曲目がバッハ作と伝えられる作者不詳のトッカータとフーガニ短調である。バッハ作とする相当の理由が未だに発見されていない以上、疑作とすべきなのだが、これはヴァイオリン・ソロの作品から編曲されたものではないかという意見も以前から言われている。
それをここでオノフリは実証すべく、自ら編曲してトッカータとフーガニ短調を演奏している。離れ業がいくつも聞かれるそれは、まさに百聞は一見にしかず…でなくて一聴にしかず…である。
オノフリ氏が首席指揮者を務める、ポルトガルの古楽オーケストラ、“ディヴィーノ・ソスピーロ”に在籍する、二本のバロック・ヴァイオリンの名手として認められる杉田せつ子さんの演奏もめざましく、さすがにオノフリが認めるだけのソリストだと感心した。
編成がヴァイオリン一本、あるいは二本だけの地味なものと思っていたら、その多彩な世界に驚かれることだろう。お薦めの一枚である。

写真は、チューリッヒの動物園に向かう途中のトラムの駅。ここの路面電車は登山鉄道みたいで、私の大のお気に入りなのである。
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by Schweizer_Musik | 2011-04-23 22:41 | CD試聴記
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