ベートーヴェンのトリプル・コンチェルトをアルゲリッチのルガーノ・ライブで聞く
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : ピアノ,ヴァイオリン,チェロのための三重協奏曲 ハ長調 Op.56 (1803-04)
演奏者 : ルノー・カプソン(vn), ミッシャ・マイスキー(vc), マルタ・アルゲリッチ(pf), アレクサンドル・ラビノヴィチ=バラコフスキー指揮 スイス・イタリア語放送管弦楽団
CD番号 : EMI/0 94031 2



なんて良い曲なんだろう!!この曲はすでに何度かとりあげている。スターン、ローズ、イストミンとオーマンディの録音、アンダ、シュナイダーハン、シュタルケル、更に極めつけのオイストラフ、ロストロポーヴィッチ、リヒテルとカラヤンの演奏など、数多くの名演がある。
その中でこの演奏は2003年のルガーノでのライブ録音で、私の所持している数少ない録音の中でも最も新しい部類に属する。
精力絶倫のマイスキーのチェロに若いカプソンが見事に互角にわたりあい、強靱なタッチとテンポで責め立てるアルゲリッチとも相乗効果を生み出していて、なかなかの出来映えだと思っている。
アルゲリッチの盟友の一人ともいうべきラビノヴィチの指揮もそれなりに優れている。それはスイス・イタリア語放送管弦楽団のアンサンブルのなせる技であろう。
三人の名演奏家を必要とする、難儀な曲をベートーヴェンは書き、この金食い虫のような音楽を良い状態で聞くことは数少なく、私も実演では一度しか良かった記憶がない。
それはともかく、録音では結構良い演奏が多く、意外に人気があるようである。
合奏協奏曲のような感じのテイストは、一般受けがしにくく、私も長くベートーヴェンの駄作の1つだと考え来た。なんという不明であろうか!!こんなに面白い作品なのに!!
個人的には、ロシアの巨人三人と帝王カラヤンによる録音にまさるものはそうないけれど、アンダのものをはじめとして、それぞれに異なる味わいで、私にはかけがえのない録音である。この演奏はオーケストラ部分はさすがにカラヤンとベルリン・フィルにはかなわないものの、ソロだけでいけば、かなり良いところまでいっている。
第1楽章など大きな表情付けで、若々しく、そして力強く演奏していて結構なお気に入りである。
現在、EMIからコンチェルト・エディションと称して四枚組で格安ボックスが出ているが、これはその中の一枚である。
やすいこともあるけれど、古典作品のお好きな方はぜひ一度お聞きになってみられることをお薦めしておきたい。

写真はこの演奏が行われた音楽祭が毎年6月に行われるスイス、イタリア語圏の中心であるルガーノ。坂の町らしい階段の路地を写した一枚を。向こうに見えているのはブレ山。
ベートーヴェンのトリプル・コンチェルトをアルゲリッチのルガーノ・ライブで聞く_c0042908_20144722.jpg

by schweizer_musik | 2011-05-14 20:14 | CD試聴記
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