コンサート解説シリーズ (8)
6月3日のノイエ・ムジカ東京の第一回定期演奏会のプログラムから津田理子さんのソロによるドビュッシーの作品2曲の解説を。

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続いてスイスのチューリッヒに住み、活発な演奏活動をしておられるピアニストの津田理子さんによるピアノの独奏をお楽しみいただきましょう。今回はノイエ・ムジカ東京と津田さん、そして最後の作品で登場いただく神戸フィルの福富さんのコラボレーションによる演奏会です。彼女のソロを演奏していただきたいとお願いして快くお受けいただき、次の3曲がプログラムに加えられました。

ドビュッシー作曲 「夢」
まず1890年にドビュッシーが書いた「夢」という作品で、後の「沈める寺」などに通じる古い教会旋法を、ドビュッシーが自分流に使うことで、なんともエキゾチックな音楽へと作り上げた美しい作品です。

ドビュッシー作曲 「スティリア風タランテラ」
後にただ「舞曲」とタイトルが変更されているものの、ちょっとそれでは何の曲か分かりづらいかもということで、最初のタイトルでプログラムにのせています。「夢」と同じ頃、1890年に書かれた作品で、スティリアとはオーストリアのシュタイヤーマルク地方のことで、八分の六拍子の速いタランテラのリズムで書かれています。六拍子と三拍子を混ぜるヘミオラの技法を使っており、ペンタトニック風の出だしと、それを打ち消すスケールの組み合わせがいかにもドビュッシー好みのメロディーで、この頃すでに彼は自分のスタイルを確立していたことを示しているようでもあります。
またラヴェルがこの作品を殊に好み、オーケストラ用に編曲していることでも知られます。

ドビュッシー作曲「映像」第2集より第3曲「金色の魚」
津田さんのピアノ・ソロの最後は1907年にドビュッシーが書いたピアノ独奏のための「映像」第2集から第3曲「金色の魚」です。
「映像」は破棄されたものを除いて全部で3つ書かれました。第1集と第2集がピアノ独奏のための作品で、第3集が管弦楽のための作品です。第1集の冒頭で「水の反映」という音楽が書かれていますが、この第2集の最後におかれた「金色の魚」は別に対になるように書かれた作品ではありませんが、もう1つの水の反映と言っても良い見事な作品です。
リストの「エステ荘の噴水」から連綿と続く素材、イマジネーションのドビュッシーなりの1つの結論とも言うべき傑作です。作品は、ドビュッシーの机の上に飾られていた日本の漆器に金粉で描かれていた錦鯉からイメージして書かれたそうです。金魚ではありませんので念のため…。
しかし、ドビュッシーの手によって、錦鯉が泳ぎだし、水面にキラキラと反射する光がピアノで生き生きと表現されているところは見事と言う他はありません。


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写真は ラインの滝近くのスイス国鉄の車窓の風景。私の最も好きなスイスの風景である。そしてこんな風景がどこまでも続いている…。
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by schweizer_musik | 2011-05-17 18:56 | 音楽時事
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