アダムスのセンチュリー・ロールズを聞く
作曲者 : ADAMS, John 1947- 米
曲名  : ピアノ協奏曲「センチュリー・ロールズ "Century Rolls"」(1999)
演奏者 : エマニュエル・アックス(pf), クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮 クリーヴランド管弦楽団
CD番号 : Nonesuch/79607



これはiTune-Storeでダウンロードしたもの。従って曲についてはよくわからず、聞いた範囲での話のみである。が、アックスつながりでとりあげることにした。
今も活発に作品を発表し続けているアメリカの作曲家ジョン・アダムスの傑作だと思う。ミニマルが発展していくと、トランス・ミュージックになるか、無窮動風の音楽になるかのどちらかではないだろうか。ひとつの宿命であり、これがミニマルの限界だと私は思う。
この作品は、そうしたアダムスのミニマルから独自の世界に達したひとつの回答ではないだろうか?
ポスト・ミニマリズムの行き着くところはおそらくこうした世界なのだろう。色彩的な響きは、ライヒなどの希求していたものから最も遠いところにあると思う。ライヒなどのミニマルはモノクロームな世界であった。しかし、アダムスは色彩感を求めていた。それはハーモニーの存在意義を再確認し、ドビュッシーやラヴェルの時代へと回帰していった。
リズムは単純化され、メロディーが復権し、ハーモニーは20世紀初頭へと回帰していった。トータル・セリエルなどの戦後前衛音楽が複雑で膨大な情報量で武装していったことへのアンチテーゼがミニマルであったが、このポスト・ミニマリズムの音楽は、そうした戦後の前衛音楽が失った大衆性への回帰がより一層鮮明となっているように私には聞こえる。
第2楽章など、吉松 隆氏の協奏曲ほどではないものの、書かれた時代がいつか疑いたくなるほど抒情性の豊かな音楽が流れる。面白さはあるが、私には物足りない。というか、これはポップアートである。くだらないなどと罵倒する気は毛頭無いが、私にはあまりに物足りない。
第1楽章と第3楽章の無窮動な音楽における独特のリズムの面白さは大いに楽しめたし、これが傑作であると私は信じてやまないが、自分の好きな音楽ではないこともまた事実である。
ミニマル系の音楽は初期のライヒなどの音楽に、志の高さを感じていたけれど、1980年代以降、彼は枯渇したように思われる。その中で、アダムスの活躍はシェイカー・ループスの成功以降、華々しいものだ。
演奏は、名手アックスの見事なピアノと、スーパー・オーケストラであるクリーヴランド管弦楽団と指揮のドホナーニとこれ以上ない布陣で、全く素晴らしい仕上がりである。

写真はソーリオの村はずれの風景から。
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by schweizer_musik | 2011-06-21 14:15 | CD試聴記
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