ベートーヴェンのピアノ三重奏曲 第5番をブッシュ・トリオで聞く
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : ピアノ三重奏曲 第5番 ニ長調「幽霊」Op.70-1 (1808)
演奏者 : ブッシュ・トリオ【ルドルフ・ゼルキン(pf), アドルフ・ブッシュ(vn), ヘルマン・ブッシュ(vc)】
CD番号 : SONY-Classical/SRCR 9115



冒頭から相当熱い演奏である。この入れ込み方はどうだろう。底抜けの明るさというか、アレグレッシヴさと深遠さの対比があまりに強烈で、深く印象に刻まれている演奏である。
第2楽章の幽玄な世界の表出は、「幽霊」などというタイトルは相応しくないと思うが、実に感動的な音楽となっている。
1950年頃の録音だと思うが、詳しいことはCDでもわからないと書いてあった。音の状態から1950年前後の印象であるが、聞きにくいということはなく、充分に鑑賞に耐えうる。
移弦をあまり使わないで、1つのフレーズを弾ききるスタイルゆえだと思うが、跳躍でポルタメントがかかってしまうという特徴が聞かれる。重要な部分ではないが、多くの人にはとても特徴的に聞こえてしまうかも知れない。
ただ、演奏スタイルが古いとかいうものではなく、この表現そのものは普遍的なものだと私は考える。技術的な問題に限って言えば、ブッシュ・トリオの演奏はそれほど上手いというほどのものではない。これはブラームスのトリオでも触れたことであるが、上手く整えただけでは「仏作って魂入れず」になってしまうし、事実、そうした演奏の多いこと!!
もちろん下手くそでは困るけれど、もちろんそんなレベルでないことは言うまでもない。
この演奏を聞いていると、終楽章の明るさが、意外なほど広大な背景描写の上に成り立っているような気がしてくる。やはりベートーヴェンは一筋縄ではいかない。

写真はベルニナ線の南側、ポスキアーヴォ湖畔の風景。
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by schweizer_musik | 2011-08-14 07:59 | CD試聴記
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