モーツァルトの「どうしてあなたを忘れられよう」K.505をルートヴィヒの歌で聞く
作曲者 : MOZART, Wolfgang Amadeus 1756-1791 オーストリア
曲名  : どうしてあなたを忘れられよう"Ch'io mi scordi di te ? - Non temer amato bene" K.505 (1786)
演奏者 : クリスタ・ルートヴィヒ(m-sop), ゲザ・アンダ(pf), ベルンハルト・パウムガルトナー指揮 ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団
CD番号 : ORFEO/C 330 931 B



クリスタ・ルートヴィヒの歌とゲザ・アンダのピアノ、そしてかつてのモーツァルトの権威でもあったベルンハルト・パウムガルトナー教授が指揮するモーツァルテウム音楽院のオーケストラによる1963年の音楽祭のマチネーのライブである。
なんて贅沢な演奏会なのだろう。
ゲザ・アンダは16番の協奏曲も弾いているが、後年の全集録音よりもずっと大人しく、パウムガルトナー先生の意図を汲んでの美しい演奏を心がけているし、プロ中のプロフェッショナルとも言うべきメゾのクリスタ・ルートヴィヒの歌が悪いはずもなく、完璧な世界が描かれていく…。
冒頭は誰もが知っているあの曲の動機が出て来て、あれっ曲を間違えたかなと驚く。はじめて聞いた時は私も驚いた。種明かしをしてしまうとその楽しみを奪うことになるのでここではこのくらいで…。
ピアノ協奏曲と言っても良いほど活躍するピアノと、主役たる歌の饗宴は実に見事で、私の好きなパウムガルトナー節ともいうべき中庸の美を堪能することができた。
余計なことをしなくても、モーツァルトは充分に美しいのだ。あれこれ付け加えて、これが「正しい」と宣うのは不遜とも言うべき醜態だと私はこれを聞きながら思った。

写真は、ベルニナ線のポスキアーヴォの町を遠く眺めたところ。あの町はずいぶん昔、一泊だけしたことがあった。教会前のホテルの屋根裏のようなところに泊まった。ちょっと幽霊の出て来そうな暗い部屋で、一定の時間をおいて教会の鐘の音が鳴り響き、眠れなかったことを憶えている。
今度はもうちょっと良いホテルに泊まろう…(笑)
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by schweizer_musik | 2011-08-14 08:04 | CD試聴記
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