ハイドンの交響曲第45番をヤニグロ指揮で聞く
作曲者 : HAYDN, Franz Joseph 1732-1809 オーストリア
曲名  : 交響曲 第45番 嬰ヘ短調「告別」Hob.I-45 (1772)
演奏者 : アントニオ・ヤニグロ指揮 ザグレブ放送交響楽団
CD番号 : VANGUARD/08 6166 71



私が音楽を聞き始めた頃、ハイドンの交響曲なんてせいぜいザロモン・セットぐらいしか手に入らなかった。シュトルム・ウント・ドランク期の作品は、なんとかこの曲などが一枚、二枚と少ないながら出ていたけれど、現役盤で探すのは難しかったものである。
ドラティの全集が出てからしばらくして、状況が改善されてきたものの、今日のようにハイドンの交響曲全集が三つも出てくるような状況は想像もできなかった。
そんな時代に、比較的手に入れやすい音源として、ヤニグロのこの録音は貴重だった。この告別はこの他に、カザルスの録音があったくらいだったと記憶している。
ヤニグロはチェリストとしてよりも、私などにとっては、ザグレブのオーケストラの指揮者としての方が印象深い。それは、音楽を聞き始めた頃に、ずいぶんとお世話になったからに他ならないが、今聞いても、なかなか良い演奏だと思う次第である。
今はクロアチアの首都となっている旧ユーゴスラビアのこのオーケストラが今どうなっているか、私は知らない。ザグレブはクロアチアの首都になっているのでは…。このザグレブのアカデミーで戦後とどまり、教鞭をとったのがヤニグロだったのである。チトーの共産主義革命は、文化を大切にする施策で、スターリンとはちょっと違っていたと聞いたけれど、そのあたりのことは私にはよくわからない。しかし、当時、ヤニグロは、ザグレブでいくつかの録音を残しており、その全てを聞いているわけではないが、私は室内合奏などもふくめて数枚は持っていたと思う。
このハイドンはその中でもお気に入りだった。手に入れるのに、ずいぶん中古屋を探したものだった。(LP時代の話ですよ!)
ヤニグロは前述のとおり、名チェリストだったからかどうか知らないけれど、合奏の弦の響きがとても良く、第1楽章冒頭の主題提示はとても印象的だったし、第2楽章の美しい合奏も少し速めのテンポで、音楽を間延びさせず、伸びやかに歌っている。
「告別」の名の由来となった終楽章も良い感じで、終わり間際のホルンのソロなんて、結構難しいのだけれど、とてもきれいに吹奏している。決して音楽を弛緩させたりしないで、最後まで緊張感を持続しているのは、意外とこの曲では難しいようなのだけれど…。
ああ願わくば、オーケストラが残っていてくれれば…。民族の対立なんて誰が望んでいたのだろう?

写真はしつこくダヴォス。早朝の小さな教会前から見上げて撮った一枚。モルゲンロートに輝く白銀の峰はまぶしかった…。
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by Schweizer_Musik | 2011-08-16 22:51 | CD試聴記
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