フォーレの幻想曲Op.111をラローチャの演奏で聞く
作曲者 : FAURÉ, Gabriel 1845-1924 仏
曲名  : 幻想曲 ト長調 Op.111 (1918)
演奏者 : アリシア・デ・ラローチャ(pf), ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
CD番号 : DECCA/417 583-2



ふわりとピアノが歌い始めたリディア旋法による主題は、オーケストラに歌い継がれる内に二度ずつ低く転調していく。明るさと深淵が交錯する不思議な主題が、フォーレ晩年に行き着いた世界だったのだろうか?
この作品は、このラローチャの録音とコラールの録音の2つしか私は知らない。そしてこの2つの録音のみで充分に楽しんできたし、不満はない。が、滅多に演奏されないレパートリーのようにも思う。
オーケストレーションもそう大仰なものではないものの、実に効果的で、フォーレが自分の音をしっかりと確実にスコアにしていることは如実に理解させられる。
Allegro moltoに入ってからの劇的な展開は、レクイエムの世界を思い描いていたらちょっと意外に思うかもしれない。しかし、どんな時も彼の音である。そこには彼らしい品があり、独特のメロディーとハーモニーを持っている。これだけはどうあがいても真似できる代物ではない。レクイエムはそれらしく真似しようと思えば出来るものなのだが、この曲のようなスタイル、書法はもうあまりにユニークで、真似したら一発でばれてしまう…(笑)。
ラローチャはこの素晴らしい作品を伸びやかに歌い上げている。何のためらいもなく、歌い上げているからこそ、その音楽の深淵が際立っているように思われる。デ・ブルゴス指揮のオーケストラも完璧につけている。このスペイン風の名前が邪魔をして、こうした一般的なレパートリーは色眼鏡で見られやすいのは気の毒だが、素晴らしくクレバーな指揮者だと私は思う。
よりしなやかな表現が印象的なコラールの演奏も良いのだけれど、このラローチャとデ・ブルゴスの演奏も充実したもので、やはりこの2つがあれば私は他がほしいと思うこともないだろう…。

写真はスイス国鉄でザンクトガレンからヴィンタートゥーアへと向かう列車の車窓にひろがる早春の風景である。
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by Schweizer_Musik | 2011-08-17 08:03 | CD試聴記
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