グノーの小交響曲を井上道義指揮で聞く
作曲者 : GOUNOD, Charles Français 1818-1893 仏
曲名  : 9つの管楽器のための小交響曲 変ロ長調 (1885)
演奏者 : 井上道義指揮 オーケストラ・アンサンブル金沢
CD番号 : WP/WPCS-12385



この曲はそう有名でもないのだけれど、3種類ほどの録音を持っている。1つはアレグザンダー・ブレツィーナ指揮ミュンヘン・ブレーセル・アカデミーの演奏(Orfeo/32CD-10039)で、もう1つはユリス・ワーテルロ指揮 ワーテルロー室内管弦楽団の演奏(NAXOS/8.555954)である。あと1つがこ井上道義の指揮するOEKの演奏なのだが、この演奏が最もプロポーションが良いと思う。
編成がフルート1、あとオーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンが各2という編成で、全体として低音に偏りがちな編成をとっているため、ブレツィーナのオルフェオ盤でも、ユリス・ワーテルロー指揮のナクソス盤でも音が低音域が膨らみすぎて、ちょっと不格好になるところがあったのだが、この井上道義指揮のOEKの演奏ではそうした問題が注意深く回避されていて、実に風通しの良い演奏となっているのだ。
グノーの後期の作品で、円熟の極みのような作品であるのだが、意外と落とし穴が多い曲でもある。
また、クラリネットが軽い薄めのリードを使っているのか、少し鋭いけれど軽快な音色となっていて、オルフェオ盤のような重厚なドイツ風の響きでやや違和感を感じていた私にはとても好ましく思われるところだ。
第2楽章の長いフルート・ソロも実に美しいし、私の大好きな第3楽章のスケルツォの素朴な踊りの音楽も、下品にならず、実に良い感じの牧歌風の音楽に聞こえてくる。
OEKの技量の高さがここでは他の競合盤を寄せ付けない。オルフェオ盤やナクソス盤をすでにお持ちであってもこのCDを買うことをお薦めしたい。それほど良い演奏だ。バランスに気をつければ、この曲はもっと評判があがると思うのだけれど如何?

写真はヴィンタートゥーアの市教会。冬の夕日が向かいの店のガラス窓に当たって美しい反射が射していた。黄昏も近い春浅き日のショットである。
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by Schweizer_Musik | 2011-08-17 08:57 | CD試聴記
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