作曲者 : MAHLER, Gustav 1860-1911 オーストリア
曲名 : 交響曲「大地の歌」(1907-8) 演奏者 : オイゲン・ヨッフム指揮 ウィーン交響楽団, フリッツ・ヴンダーリッヒ(ten), ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(br) CD番号 : Grammophon/477 8988 久しくマーラーを取り上げていない。世の中はやたらとマーラーが溢れていて、私がここでとりあげるまでもないと思っているからで、マーラーだけは書くのを意識的に避けているからだ。 とはいえ、ちょっとその禁を破ってみようと思う。 この盤は1964年6月14日ウィーン・ムジークフェラインザールにおけるライブ録音である。ソリストが興味をそそる。ヨッフムにはステレオでロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮した正規録音がある。そちらはメリマンとヘフリガーがソロを歌っていて、これまた良い歌を聞かせているので、わざわざモノラルのライブ盤を買うこともないのだけれど、やはりフリッツ・ヴンダーリッヒの歌ということで、オットー・クレンペラーの超名盤との比較が楽しみである。 フィッシャー=ディースカウの歌も悪くないのだが、私はこの曲は男声が歌うよりも女声の方がずっと良いように思われる。終楽章の「永遠に」と歌うそれは、永遠の母性の中に消えていくかのような終わり方の方がずっとしっくり来るからである。 フィッシャー=ディースカウはこれまた有名なバーンスタインの録音で有名だ。あっそれで思い出した。ヨーゼフ・カイルベルト指揮(懐かしいでしょ?)バンベルク交響楽団の録音で、この組み合わせの演奏を持っていた…。(Classic OPTIONS/CO 3515) ということは、1960年代、この二人で何度か大地の歌を歌っていたのだろう。カイルベルト盤は1964年4月の録音とあるので、この録音の二ヶ月ほど前のことである。 ちなみにフィッシャー=ディースカウがバーンスタインの指揮でこの曲をウィーン・フィルと録音のは2年後の1966年4月のことだった。 録音は正規のマスターを使ったのだろうが、やはりモノラルで時代相応の音である。モノラルなのは放送用だったからなのだろうか?わからないが、そこそこの解像度で、カイルベルト盤のもこもこした音に比べるとずっと聞きやすい。 ヴンダーリッヒの歌はクレンペラー盤の方が完成度は高い。劇的でこちらの方が印象は深いが、やはり無理してまで買うことはなかったかな?と思ってしまう。オケも完全に練れたものとは言えず、ライブ特有の乱れが聞かれる。特に第1楽章に危険な箇所(笑)が多いようだ。 ヨッフム盤ではロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団とのより完成度の高い録音があるわけで、ウィーン交響楽団とのこの録音にはそれほどの価値を私は認めない。 というわけで、ちょっとつまらない結果だった。期待が大きすぎたかな? 写真はバーゼル市内を流れるライン川。川霧が立ち上り、ちょっと幻想的な雰囲気がある。パリを逃れてきたリストとマダム・ダグーも今とあまり変わりないこの風景を見たに違いない。
by Schweizer_Musik
| 2011-08-19 15:05
| CD試聴記
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