黒田節を細川俊夫氏の編曲で聞く
作曲者 : 伝承曲
曲名  : 黒田節 (細川俊夫によるアルト・フルート編曲)
演奏者 : コルベイン・ビャルナソン(alt-fl)
CD番号 : NAXOS/8.572479



3年ほど前、細川俊夫先生ご夫妻と娘と一緒に逗子のさざなみホールであった田嶋直土氏による尺八の本曲だけという演奏会に出かけたことがあった。
このCDには細川俊夫先生のフルートのための作品だけが収められているのだが、最後にこの有名な曲の編曲が入っていて、ちょっと異彩を放っていたのでとりあげてみようと思った。それは、あの日の尺八の演奏に通じる何かをこの編曲から受けたからであるが、更に言えば、この有名な音楽をたった一本のアルト・フルートに編曲するということが、どれだけ至難の事か!!
これだけで、細川俊夫先生の音になっているということは、まことに凄いことである。誰もが知っているメロディーであるだけに難しいことなのである。私なら尻込みしてしまうこどてあろう。
物静かな彼の性格そのままに、この音楽は寡黙で、かつどこか艶やかですらある。アルト・フルートの音程を微分音で上下に揺らすことで、日本的というか、宗教的な尺八の独特の歌い回しを移植している。いや、それだけなら私でも書ける。その上に彼は何かを表現していくのである。4分にも満たない作品の中に私はとてつもない世界を発見した。
コルベイン・ビャルナソンは私と同い年のようで、アイスランドを中心に活躍しているフルーティストのようだが、素晴らしいパフォーマンスでこの極めて日本的な世界を聞かせてくれる。
これを聞くと、我が国の誇るべき国歌とルーツを同じくしているという説も、あながち外れではなさそうだとも思う。
このCDには、この20年あまりに書かれた彼のフルートのための作品(アンサンブルをはじめとして独奏用など全部で6曲)が収められている。すでに作曲家としての自らの個性を確立した後の成熟した作品群を聞くことができる。
かつて、福島和夫のフルート曲集をエイトケンの演奏でDENONから出たLPをはじめて聞いた時のような衝撃がこのCDにはある。
現代音楽に関心のある方はぜひお聞きになられると良い。虚心坦懐に聞き、味わうべき1枚である。

写真はルツェルンのルカ教会。3年前のルツェルン音楽祭。ここで細川俊夫先生の新作の初演を聞いた。その時に撮った写真。
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by Schweizer_Musik | 2011-08-20 09:57 | CD試聴記
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