ベルクのアルテンベルク歌曲集をノーマンの歌で聞く
作曲者 : BERG, Alban 1885-1935 オーストリア
曲名  : アルテンベルク歌曲集 Op.4 (1912)
演奏者 : ジェシー・ノーマン(sop), ピエール・ブーレーズ指揮 ロンドン交響楽団
CD番号 : SONY-Classical/SRCR9791



ベルクという人は、何でも完璧でないと気が済まなかったらしい。この曲を聞いてまず思うのは、歌が良いとかいうよりも、オーケストラの雄弁さだ。色彩的な音響は、とても素晴らしいもので、これが彼のはじめてのオーケストラ作品だというから恐れ入る。
これを師のシェーンベルクはあまり評価せず、この作品は生前、結局演奏されないまま残されたというから、更に恐れ入る。何が気にくわなかったのだろう。私にはせいぜい歌曲にしては背景が雄弁すぎるぐらいしか思いつかない。それも美点であると判断しているが…。
ベルクの友人のペーター・アルテンベルクが五枚の絵はがきの裏に書いた短い詩につけた歌というが、それぞれにロマンチックな詩は、どことなく毒があって不思議な雰囲気を持っている。印象主義的とあるが、なるほどとも思う。
アルテンベルクはウィーンの名物男だったというが、それについてはWikiの記事に詳しいのでそちらをどうぞ。
そのアルテンベルクの詩に色彩的な五つの歌を作ったベルクは、徹底した寡作家であったが、それ故残された作品はどれも珠玉の逸品揃いで、この作品もまたそうだと私は思う。
曲集は次の五つの歌から出来ている。

第1曲 心よ、お前は吹雪のあとでは "Seele, wie bist du schöner"
第2曲 君は夕立のあとの森を見たか "Sahst du nach dem Gewitterregen den Wald"
第3曲 君は宇宙の果てを瞑想し "Über die Grenzen des All"
第4曲 私の心に訪れるものはなく "Nichts ist gekommen"
第5曲 ここには安らぎがある "Hier ist Friede"

短い詩ばかりで、曲も短いが(歌詞はこちらを参照されたし→梅丘歌曲会館「詩と音楽」…いつもお世話になっているサイトである)雄弁なオーケストラのおかげで変化に富む、独特の音楽となっている。
ユーゲントシュチュールの細長い尾の先に花開いた芸術とでも称したらいいのではないか?無論世紀末の音楽ではないが、その雰囲気をこんなに保っている音楽も珍しいのではと思うからだ。
ひょっとするとそれがシェーンベルクの気に入らなかったのか?想像するしかないのだけれど…。

1987年と1988年の録音で、ジェシー・ノーマンの歌は熟達の域に達しており、それはそれは見事なものである。マーガレット・プライスの歌ったアバド盤とともにこの曲の誉れ高き名盤である。

写真は小さな、と言うより狭いポスキアーヴォ駅で離合をするところ。待ち合わせ中、向こうから山を下って来る車両を撮った一枚。私も好きだなぁ…。
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by Schweizer_Musik | 2011-08-27 08:41 | CD試聴記
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