バッハのフルートとチェンバロのためのソナタ変ホ長調をランパルの演奏で聞く
作曲者 : BACH, Johann Sebastian 1685-1750 独
曲名  : フルートとチェンバロのためのソナタ 変ホ長調 BWV1031 (1736年以前?/疑作)
演奏者 : ジャン=ピエール・ランパル(fl), ロベール・ヴェイロン=ラクロワ(cemb)
CD番号 : EMI/569642-2



ジャン=ピエール・ランパルは、戦争中の1943年にパリ音楽院に入学して、わずか五ヶ月で卒業したという。やはり一種の天才だったのだろう。1947年のジュネーヴ・コンクールで優勝した彼は、1956年にパリ・オペラ座管弦楽団の首席奏者となるが、それ以前にもいくつもの録音を残していて(中にはプーランクの伴奏で録音したフルート・ソナタもある!)当時、大変注目されていたことがわかる。
この録音は1954年2月, 4月Salle Adyar録音とあるが、まだ32才だった彼が、颯爽と演奏している。この頃はまだバッハの作品だと信じられていたのだけれど、この曲、どうも疑わしいと言われ出したのは、いつ頃からだったのだろう。
バッハのスタイルから外れているとか、息子のエマニュエル・バッハの曲ではないのかとか言われているようで、疑作の扱いとなっているのも関わらず、この曲は人気がある。第2楽章のシチリアーノの美しいメロディーのおかげで、色々と編曲されて聞くこともある音楽でもある。
ただ、バッハの作品は彼以前の色々な様式を彼の中で統合しているような音楽で、一概に様式が違う云々では決められないところはある。彼自身の真筆の楽譜が出て来たり、名前が入った当時の写譜が出てこない限り、疑作のままとなるのだろうか?
まっ、バッハの曲として超がつくほど有名なトッカータとフーガニ短調がバッハの曲ではないらしいということになったのもショックだったけれど、それでもあの曲は演奏され続けているし、この曲もフルートの定番のレパートリーとして演奏され続けていくのだろう。
作曲者は誰かという論争は、音楽学者の方々にお任せし、良い音楽がそうした誰が…ということとは無縁に人々の耳に届いていく。作曲家冥利に尽きると思う。
ジャン=ピエール・ランパルとラクロワ、特にラクロワのチェンバロには少々時代を感じるけれど、やはりこの演奏の魅力は60年近く経った今日でも色あせないものがあるように思う。

写真はルツェルンのルカ教会、2010年のオーボエのオルテガ・クウェロとオルガ・ワッツのチェンバロの演奏会のはじまる前に写したもの。
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by Schweizer_Musik | 2011-08-31 09:24 | CD試聴記
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